セイコーG会長・服部真二氏 「人」が信頼の決め手
セイコーグループ 服部真二会長(下)
私のリーダー論ビジョン貫く覚悟必要
――部下との接し方では何を意識していますか。
「気軽に話せる上司であることです。部下との『飲みニケーション』でも、ネクタイを締めてテーブルを囲んでいたら、かしこまってしまいますよね。雑談しつつ、最後に仕事の話が出てきてちょっとアドバイスを言う、というのが理想です。そういう雰囲気を醸成するのはトップの役割だと思います。このようなご時世ですから、お酒を飲まなくてもいいよ、といって若手を誘ったこともあります」
――後継者にはどんな人を選びたいですか。
「長期的な観点で会社を見られる人ですね。かつて、セイコープレシジョンで取締役を務めていたころ、電子部品をつくる事業所の品質不良率が20%とかなり悪く、事情を聞きに行ったことがありました。すると現場の人に『それはあなたの責任でしょ』と言われたんです。会社として品質不良を減らすという計画なら、そのための組織はちゃんと作るべきだと。こちらが上司なのに、面と向かって指まで指されて言われました」
「でも実際にその通りにしたら、品質不良は減り業績も改善したのです。こういうことができるのが、『フォア・カンパニー』の人ですよね。上司にこんなことを言ったら自分がどこかに追いやられちゃうかな、とかは考えず、会社のために振る舞える。長期的に自分が信じられるビジョンを持って、それを貫き通す覚悟が大切です」
(津兼大輝)
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社員と社歌・応援歌作り
音楽をこよなく愛する。「子供の頃から、クラシックよりポップスなどの方が好きだった」。昔から聞いてきたジャズや昭和歌謡などを好む。自ら歌声を披露するほか、作曲もたしなみ、社員とともに社歌や応援歌づくりにも精を出している。
朝は近くの公園を散歩するのが日課だ。「机の前でうなってもいいアイデアは出ない」と小雨程度なら散歩はやめない。木の下を歩き、深呼吸をすると新しいアイデアも出てくるという。
リーダーを目指すあなたへ
学生時代に何か1つでも熱中した趣味をずっと続けてください。それによって豊かになった感性が必ずいつか会社で役に立ちます。仕事は計画も大事ですが、最後の決断は直感です。