サイボウズは自学する集団 上からリスキリングはNG
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青野社長は自主的に学ぶ社内風土作りを心がけている(サイボウズのオフィス)
「自分で考え学ぶ組織を作りたい。『リスキリングしろ』と言った瞬間に主体性がなくなってしまう」という青野。重要なのはいかに「学ぶ風土」を作るか。そこで採り入れたのが、社内制度をつくるプロセスを全社員に公開する取り組みだ。
社員が「できること」と「やりたいこと」を全社に公開してメンバーをマッチングする「Myキャリ」。最長6年もの間、退社しても同じチームに戻れる「育自分休暇」。申請不要で副業できる「複業」――。
数々の独自制度がこうしたガラス張りの環境の中で生まれた。「自分から提案していいんだという空気」が積極的な提案や学びを生む土壌になるのだという。
2016年に導入した「大人の体験入部制度」もそのひとつ。最長3カ月間、他部署に試験的に移ってキャリアの選択肢やスキルの幅を広げる狙いだ。これまでに150人以上の社員が利用してきた。
システムコンサルティング本部の恵良知左子もそのひとりだ。19年春に広報部に体験入部したのをきっかけに、今ではアプリ開発などの本職を担当しながら広報の仕事を兼務している。
プレスリリースの作成やイベントの企画運営など、普段と違った役割をこなす中で「わかりやすく相手に伝える表現力に加え、情報収集や人脈ネットワークの幅が広がった」と手応えを語る。

恵良さんはシステムコンサルタントと広報の仕事を兼務している
アプリ開発と広報の勤務時間の比率は自分で設定する。青野は「2つの仕事を経験したことがその人のユニークな個性になる」と効果を語る。ぶっつけ本番ではなく、安心感をもってリスキリングの一歩目を踏み出せるのが、この制度の強みになっている。