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日比くん「他の協力枠組みとはどう違うのですか」

米主導の中国対抗策は「3・4・5包囲網」と呼べる重層的な仕組みとなっています。オーカスと日米豪印の「Quad(クアッド)」、米英豪カナダとニュージーランドによる機密情報共有の枠組み「ファイブ・アイズ」です。

オーカスとファイブ・アイズは軍事、9月に対面では初の首脳会議を開いたクアッドはサプライチェーン(供給網)や気候変動、インフラなど経済の安全保障を中心に据えています。豪は3つ全てに加わっており、米国の重要なパートナーになっています。

名瀬さん「アジアの国々への影響はどうですか」

オーカスについて、当然のことながら中国は「地域の平和と安定を深刻に破壊する」と猛反発しています。地理的に豪中の間に位置する東南アジア諸国連合(ASEAN)は反応が割れています。米国と安保面で関係が深いシンガポールやフィリピンは理解を示しましたが、インドネシアやマレーシアは、地域の緊張を高めると懸念しています。米国の同盟国で、太平洋の安定が経済安保に直結する日本は基本的に賛成の立場です。

豪が実際に原潜を建造し、就役させるのは、早くても30年代半ば以降とみられます。ただし米中対立が深刻になるなか、双方が軍備増強を競えば、南シナ海や台湾海峡などで偶発的衝突も含めたリスクを高める心配はあります。

ちょっとウンチク

原潜技術ににじむ本気度

バイデン米政権は8月末、イスラム主義組織タリバンにアフガニスタン制圧を許し、同国から米軍を撤収させた。オーカス創設の表明はその2週間後だ。「自国第一で、はしごを外す」という同盟国の疑念を払拭し、インド太平洋にとどまって中国に対峙すると宣言したに等しい。

アジアに配備する艦船やミサイルの数で米軍は中国軍に後れをとるが、原潜技術はなお優位にある。米が過去に原潜技術を供与したのは英国だけだった。英と協力して「虎の子」の技術を豪に授ける枠組みに、対中抑止にかける米国の本気度がにじむ。(アジア総局長 高橋徹)

ニッキィとは


日本経済新聞を日ごろからよく読んでいる女性読者の愛称として「ニッキィ」が生まれましたが、新たに2代目のニッキィとして人工知能(AI)を活用したバーチャルなキャラクターが誕生しました。日本経済新聞社の研究開発組織、日経イノベーション・ラボがスタートアップ企業のデータグリッド(京都市)の協力を得て、日経の若手社員の顔写真をAIに学習させ作成しました。
「なぜこんなことが起きているの」といった疑問、好奇心をもとに、2人がベテラン記者に質問していきます。
[日本経済新聞夕刊 2021年11月29日付]

「ニッキィの大疑問」は原則月曜掲載です。

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