コロナ禍で増す BtoB デジタルマーケティングの重要性
NIKKEI BtoB マーケティングアワード2021 トークセッションから
ニューススクールあわせて行われた受賞企業の担当者や審査委員によるトークセッションでは、BtoB マーケティングについて活発に意見が交わされた。
受賞企業セッションでは、審査委員を務めたトライベック(東京・港)の後藤洋代表はパーソルホールディングスのグループ営業本部グループ営業企画部法人マーケティング推進室マーケティング・エキスパートの繁田佳典氏に対し、「BtoB マーケティングの始めの一歩に踏み切るとき、どのようなことに気をつけるべきか」と質問。繁田氏は「営業成績、売上高を伸ばしていこうというときに、営業人員を増やしていくのではなく、一人ひとりの生産性を上げていくという発想が重要だ」と語り、顧客情報のデジタル化はそのための手段だとの認識を示した。

パーソルホールディングスの繁田佳典氏(中央)とトライベックの後藤洋代表(右)
また、審査委員でNexal(ネクサル、東京・港)の上島千鶴代表はNECのIMC本部主任の中島拓也氏に「社内にはいろいろな事業体があり、各事業部の戦略も違う。こうした中で、マーケティングと営業の連携という取り組みにどのように巻き込んでいったのか」と尋ねた。中島氏は「コロナ禍が起点になった。20年上期にイベントのオンライン化を切り口にデジタルマーケティングの導入を各事業部に呼びかけたところ、すでにデジタル化を進めていた部門や顧客への対面営業に行けなくて困っている部門が手を挙げてくれた。こうした部門との連携をまず進め、徐々に成果を上げていくうちに他部門も興味を示し、活動の輪が広がっていった」と述べた。

NECの中島拓也氏(左)とNexalの上島千鶴代表
審査委員によるセッションではクー・マーケティング・カンパニー(東京・渋谷)の音部大輔代表とシンフォニーマーケティング(東京・千代田)の庭山一郎代表が登壇。音部氏は「BtoCとBtoBは違うとされるが、どちらも人が意思決定をしている。相手の立場や顧客を理解したマーケティングであることに変わりはない」と話した。庭山氏は「日本企業のBtoB マーケティングは海外に比べ10~15年遅れている」と指摘。自社のマーケティング力を高めるためには、海外の標準的なフレームワーク(枠組み)に取り組んだうえで、社内の定義を揃えていくことが必要だと語った。

クー・マーケティング・カンパニーの音部大輔代表(左)とシンフォニーマーケティングの庭山一郎代表
(青木拓生)