変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

「週休3日」のはずが邪魔が入る

先の調査で最も人気の高かった、週休3日制はどうでしょう。まず従業員の立場では、「本当に週休3日が実現したとして、どんな1週間を過ごすか」をイメージしてみることをお勧めします。

新たに1日増えた休日、朝起きてから夜寝るまで自分は何をするのか、活動を書き出してみてください。改めて考えてみると「どう過ごしていいか分からない」と思う人もいるはずです。憧れていたはずの週休3日が手持ち無沙汰になってしまわないよう、事前の計画や準備が必要です。

また週休3日制が導入されたとしても、勤務先の営業日がそのまま減るケースは少ないでしょう。3日目の休暇は、従業員が交代制で取得することが考えられます。つまり自分が休日でも会社は営業しているのです。この状態で果たしてしっかり休めるでしょうか。

例えばあなたが休暇を取っている日に急ぎの仕事が発生した場合、あなたの上司や同僚は代わりに遂行してくれるでしょうか。現在、有給休暇を取得したときの対応が参考になります。「お休みのところ悪いね」と言いながらも気楽に電話してくるようでは、本当の週休3日は難しいでしょう。週に3日間しっかり休むには、上司やチームのメンバーが互いに協力し合い、休暇中のメンバーの仕事をカバーする体制をつくる必要があります。

取引先の理解も必要です。「おたくの会社は週休3日なんだって、うらやましい。うちなんか週7日出勤のときもあるよ」などと嫌みを言われる前に、週休3日がなぜ必要かを説明しておかなくてはなりません。

「週休3日という制度なんだから、気にせず休めばいいじゃないか」という意見もあるでしょう。しかし現実には、有給休暇もなかなか取れない、週1日の休みを確保するのも大変といった環境では、週休3日制を邪魔する要素はたくさんあります。

その邪魔の原因を特定して取り除くためにも、まずは有給休暇を1日取得して「誰も電話をかけてこないか、チャットで話しかけてこないか」を確かめてみてください。

天笠 淳(あまがさ・あつし)
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。著書に『転職エバンジェリストの技術系成功メソッド』『オンライン講座を頼まれた時に読む本』(いずれも日経BP発行)がある。
[日経 xTECH 2022年9月1日付の記事を再構成]

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedoNIKKEI SEEKS日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック