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やる気を上げる対話法を模索、3つのポイント

――どのように変えたのですか。

パリ五輪を目指す女子バスケの恩塚HC ©JBA

パリ五輪を目指す女子バスケの恩塚HC ©JBA

「やらせるのではなく、選手本人がその気になり、自信を持ってトライしたくなるようにするためのコーチングですね。実現には3つのポイントがあります。まずは、選手自身が自分でやる気を起こすような対話法を考えました。プレーで失敗した後、なぜ指示通りに行動しないのかと問い詰めても、人間は自分の正当化に走るだけ。言い訳をしたり、反論したり、最後にとぼけたり、それでは何も向上しない。そこで『どうだった?』と気軽に聞くことにしました。その返事を聞きながら、それぞれ選手に合ったモチベーションを上げる言葉を探りました。当然、どの言葉が刺さるのか、分かりませんから、色々試みて違うようだったら、『ごめん、ごめん』と修正する必要があります。これは勇気がいるし、結構難しいですね」

「さらに大事なポイントがあります。各選手と『淀みなく』接することです。人間関係には、好き嫌いや相性もあります。しかし、淀みというか、ノイズがあっては公平なコミュニケーションは成り立ちません。最後のポイントは『自然体』で対話してゆくこと。相手に好かれたいと、きれいごとばかりを言っても見透かされてしまうだけ。結局、信頼関係を築けなくなってしまいます」

――その気にさせるコーチングは、ビジネスパーソンにとっても課題ですね。職場でもパワハラ的な発言はすぐに問題になるため、妙に部下に優しかったり、きれいごとばかり言ったりする上司が増えています。しかし、それだけだと、職場の生産性は上がらず、業績向上につながらないケースが少なくありません。

「私もまだ試行錯誤の段階です。ただ、大学のチームの雰囲気がずいぶん明るくなり、各選手のモチベーションも上がってきました。前述した有望選手は、次の年に全日本大学選手権のMVPを受賞、4連覇のけん引役となりました」

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