コンサル「最初の3年間」の技術と作法 99にまとめ解説
紀伊国屋書店大手町ビル店
ビジネス書・今週の平台アウトプットを生み出す6つのステップ
そのポイントになるのは、「論点」という言葉だ。第7項「論点バカ VS TASKバカ」では、アウトプットを生み出す6ステップが「ロ→サ→T→ス→作→ア」という呪文のような言葉で解説される。この一番始めにある「ロ」が論点のことであり、正解のないゲームを考え抜く技術の基本とは、この論点から始まり、これをサブ論点に分け(サ)、サブ論点を解くにはどうすればよいか、そのタスク(TASK)を設計し(T)、タスクのスケジュールを組み(ス)、実際、サブ論点を解くネット検索やインタビューなどの作業をし(作)、これをパワーポイントなどにまとめることで、アウトプットが生み出される(ア)のだ。
この6ステップの働き方こそが、最初の3年間のトップ3に入る「キーとなる学び」だと著者はいう。ここに会議での発言の仕方から時間の使い方、Word(ワード)とPowerPoint(パワーポイント)の使い分けの話まで組み合わせながら、最初の3年間の技術と作法と心得を語り尽くす。仕事で考える技術を成長させるにはどうすればよいか、通読してその全体像をつかむのもいいし、ある程度考えることが得意なら、目次を眺めて気になる項目を拾い読みしてもいいだろう。
「時事系の話題本が多い中で、スキル系の本としては目立った売れゆきになっている」と店長の桐生稔也さんは話す。新規事業開発やデジタルトランスフォーメーション(DX)など、多くの企業が正解のないゲームを戦わざるを得ない状況なだけに、「すべてのビジネスパーソンに届けたい」と著者が意気込む「濃い」思考技術への渇望は、ビジネス街ではことのほか強いようだ。
『安倍晋三回顧録』が1位
それでは先週のランキングを見ていこう。
1位は話題の『安倍晋三回顧録』。2位には7日間で会計の勘所がつかめる構成で書かれた『会計センスの強化書』が入った。3位の『実録バブル金融秘史』は大和証券のMOF(旧大蔵省)担当や証券団体協議会委員長を務めた著者がバブル崩壊後の金融危機を振り返った一冊。1月に訪れたときも3位で、金融関係の会社が多い大手町らしい息の長い売れ筋になってきた。4位の『半導体戦争』は現代の最重要戦略物資をめぐる国家間の攻防を活写した気鋭の米経済史学者による著作だ。今回紹介したコンサルタントの考える技術と作法の本は5位だった。
(水柿武志)