見栄はセカンドキャリアの障害 看板捨てる勇気が大切
sfidaM代表 小沢松彦氏
キャリアとお金を考える
人は意外といろいろな見栄に縛られ、自分の可能性を狭めている(写真はイメージ=PIXTA)
セカンドキャリアを考える際、多くの方が3つの「must=私はこうでなければならない」という観点に縛られ、自ら機会を狭めてしまいがちです。中小企業のバリュー開発・社員教育などを手掛けるsfidaM(スフィーダム、千葉県浦安市)代表の小沢松彦氏に、「お金のmust」(前々回)、「場所のmust」(前回)に続き、3つ目の「見栄(みえ)のmust」についてアドバイスしてもらいました。
自分はどんなことに見栄を張るタイプだと思いますか。あるいは、どんな世間体を気にしますか。セカンドキャリアに踏み出そうとするとき、意外と見栄や世間体という形がはっきりしないものに縛られ、二の足を踏んでしまうものです。
妻が「娘の結婚式までは今の肩書のままでいて」と懇願
会社員の場合、まず思い浮かぶのは会社の名前(=看板)や肩書でしょうか。世間に名前が通った会社に勤める人ほど、会社の看板を捨て、新たなキャリアに踏み出すことは勇気が必要かもしれません。「難関を勝ち抜いて入った会社」「有名な会社に勤めているという自負」「周りからの目」。そういった自負が良いことも辛いことも浮き沈みもある長い会社人生を支えている面もあると思います。今はセカンドキャリアを考えることが当たり前になりつつありますが、少し前までは早めに会社を変わってしまうことが、何かドロップアウトしたように受け止められてしまうこともありました。
私の周囲でよく引き合いに出されるエピソードですが、本人が意を決して早期退職し、セカンドキャリアを選択しようとしたら、奥さんから「お願いだから、娘の結婚式までは今の肩書のままでいて」と懇願されたという話があります。会社員は会社での肩書がその人の世間的な見え方につながってしまうという時代が長く続きましたから、その感覚は簡単には抜けないかもしれません。