将来のキャリアを描くには 限界を突破する4つの手順
『「目標が持てない時代」のキャリアデザイン』
若手リーダーに贈る教科書全8章構成の本書は、まず第1章でキャリアデザインの全体像を解説し、続く第2章~5章ではワークショップ形式で読者への具体的な質問項目を示し、それに対する回答から理解を深める解説を試みています。
たとえば、将来医師を目指す高校生がいるとしましょう。医師を目指すキャリアの目的が、「他者の苦しみ、ピンチを助けられる存在でありたい」だとすれば、医師ではない高校生は現状でも、クラスの仲間が困っているときに寄り添ってあげたり、具体的に手助けしてあげたりすることができます。この高校生は、今も未来も「他者の苦しみ、ピンチを助けられる人」であり続けたいという軸を持つことができるのです。
一方、「医師になりたい」という目標レベルの認識で止まっていたら、医学部に合格しなかったときに目標、夢を失うことになります。でも、目的が「他者の苦しみ、ピンチを助けられる存在」と定まっていれば、カウンセラー、教師、警察官といった形でキャリアの目的を実現することができるでしょう。
(第2章 キャリアの目的(パーパス)を育てる 64~65ページ)
一方、「医師になりたい」という目標レベルの認識で止まっていたら、医学部に合格しなかったときに目標、夢を失うことになります。でも、目的が「他者の苦しみ、ピンチを助けられる存在」と定まっていれば、カウンセラー、教師、警察官といった形でキャリアの目的を実現することができるでしょう。
(第2章 キャリアの目的(パーパス)を育てる 64~65ページ)
キャリアのゴールは「自分らしく生きる」
著者がキャリアデザインで強調するのは、楽しさやワクワク感といった前向きのマインドという点も目を引きます。目標の定義について「大好きなこと、やってみたいこと、難しくて今はできないこと、そしてワクワクできること」(133ページ)といいます。キャリアデザインにあたっては「WILL×CAN×MUST」の発想で、まず目標を定め、それを効率的に進めるための手法を考え、達成を目指すという発想が従来はよくとられるようです。それでは「多くの人が現状の自分の思考の枠に囚らわれて目標を描きがち」(170ページ)と指摘。自ら主体的に目標を次々と生み出し「自分らしい」あり方を描くべきだといいます。
そのためには、キャリア=仕事だけでなく、趣味や望みとする生活の姿まで含めた今後の人生像を描いてほしいと提案します。そして、目標を数多く考え出し、そこに一気に実現しようと考えるより、むしろ、少しずつ試しながら進む「実験」が数多く必要だと説いています。
キャリアの究極のゴールは本当の自分になることです。限界突破というと、何かすごいものになることをイメージされるかもしれませんが、ちゃんと自分になること、隠れている本当の自分になることがキャリアゴールです。誰もが赤ちゃんの頃は、何に気兼ねすることもなく自分らしくあったはずです。それが家族との関係、社会との関係の中で自分自身を見失い、自分ではない別のモノサシで自分を測り、いつも何か足りない自分に不満を持っているという状況をたくさん見かけます。
ちゃんと自分自身になることを意識してキャリアをつくっていくことで、何かに惑わされることなく、ポジティブに人生を歩めるはずです。
(第4章 目標をたくさんつくる 139ページ)
ちゃんと自分自身になることを意識してキャリアをつくっていくことで、何かに惑わされることなく、ポジティブに人生を歩めるはずです。
(第4章 目標をたくさんつくる 139ページ)