将来のキャリアを描くには 限界を突破する4つの手順
『「目標が持てない時代」のキャリアデザイン』
若手リーダーに贈る教科書他者とつながるネットワークを強化すること
本書で強調している言葉の一つに、ネットワークを身につけるということがあります。それは職場の同僚だけでなく、他部門の人とのつながり、さらには仕事以外でも同じ趣味を持つ人であったり、参加したセミナーなどで知り合う人々……。そのことが今後のキャリアデザインを考える上で必要な契機となることもあるといいます。
「キャリアを開発していくためには、誰かの助けが必ず必要になります。だから、自分のキャリアを開発するために誰かの助けを借り、誰かのキャリアを開発するために自分の力を貸すという相互支援が生まれ、周囲との関係性が良好になるのです。相互支援を通じて目的が進化したり、目標が広がったりもして、本人の潜在的な可能性がさらに拓かれていきます」(230ページ)と指摘しています。
つまり、自分ひとりでかたくなに考えないこと。積極的に交流をもち、そこから得られる知見や経験をもとにして、キャリアデザインの、いわば「種」になっていくという考え方のようにも受け取られます。
安定とは本来、大事な人と自分の生活を守り、その上でやりがいのある人生を築くことといえます。前者を実現するには一定程度稼ぐことが必要ですが、その源泉は社会、周囲に貢献できる力があることです。後者は、他者に貢献することを通じ、存在実感を得られることではないでしょうか。
つまり、変化の時代に安定するということは、絶えず変化して、周囲に貢献できる自分であることと考えられます。そのためにはつながりと成長が欠かせません。
(終章 限界を突破し、想像以上の自分になれる時代へ 234ページ)
副業を解禁する企業などが出始め、社内の仕事だけで完結する働き方も変わりつつあるようにも思われます。自らの人脈地脈を築き「水平展開」で、自らのキャリアデザインを描く時期に来ている。本書を読んで、そうした思いにとらわれてきます。
◆編集者のひとこと 日本経済新聞出版・酒井圭子
「今のままでいいのか。でも、特にやりたいことが見つからない」
自分も含め、働く人の多くが抱いているこのモヤモヤの正体ってなんだろう、どうすれば解消できるのだろう、閉塞感あふれる今の時代に合ったキャリア論が必要なのでは。それが本書企画のきっかけです。
では、どなたにご執筆いただくか?
そんなとき、片岡裕司さん、阿由葉隆さん、北村祐三さんから「限界を突破するキャリアデザイン」のお話をうかがい、「これだ!」と思いました。考え方や方法論はもちろん、何より3名の皆さんが、それぞれに新たなキャリアを開いていることに説得力があったのです。
目標が見えないモヤモヤの先にある、想像以上の新たな自分を見つける。本書で皆さんもぜひワクワクする人生を獲得いただければと思います。