灘高生が東大理3離れ 医学部志向に異変の兆し?
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東大理3合格は受験生にとって勲章という(東大医学部付属病院)
理系人材の憧れの職業である医師。今や医学部は成績優秀な高校生の間で最も人気のある学部だ。その頂点に君臨するのが東京大学医学部医学科に進学する理科3類。これまで合格者数でトップを走ったのは灘高校(神戸市)だったが、2021年の入試では2位に後退した。この小さな異変は何を意味するのか。
理3合格は受験生の金メダル
「灘高の成績優秀者で、明確な興味・関心事のない生徒はとりあえず理3を目指すという雰囲気だった。本当に医者になりたいという人もいたけれど、どちらかと言えば、腕試しという側面が大きかったと思う」。14年に灘高を卒業し、東大を蹴って米マサチューセッツ工科大学(MIT)に進学した起業家の前田智大さんは話す。
「とりあえず理3」とは驚きだが、ライバル校の開成高校(東京・荒川)で前校長だった柳沢幸雄氏も「理3合格は受験生にとっては勲章のようなものだ」と語る。大学入試を五輪に例えるなら、金メダルのような存在なのだろう。
確かに理3は狭き門だ。東大に毎年3000人余りの学生が入学するが、理3の枠は100人程度。入試では理科1類や同2類の合格者の最低得点率が55~60%であるの対し、理3は70%前後と断トツだ。
灘高はこれまで、理3合格でトップを走ってきた。13年には27人が合格、実に4人に1人が灘高卒とメディアでも話題になった。「関西弁でワイワイやっている男子学生はみんな灘高出身者。メガ勢力だ」(桜蔭高校出身の東大医学部生)といわれるほど。その後も20人以上の合格者を出したが、20年は14人にとどまった。21年には12人となり、ついに筑波大学付属駒場高校の14人を下回った。ちなみに40年連続の東大合格者数トップを誇る開成高は10人だ。