灘高生が東大理3離れ 医学部志向に異変の兆し?
ニューススクール東大合格者数ランキング(21年まで5年間の平均合格者数)でみると、開成、筑駒、灘の順番だ。しかし、理3合格者数は灘高がトップだったため、「真の日本最強の進学校は灘」という声もある。

大学通信調べ。※印は国立、◎印は私立、無印は公立を示す。合格者数は各高校への調査などから集計した。校名は現在の名称
かつての灘高は東大志向が極めて強かったが、1990年代以降に医学部シフトが進んだ。この結果、1学年の定員220人の約8割が理系に進む。2021年までの5年間の灘高の東大平均合格者数は全国3位の87.2人。1980年代の10年間平均は同2位の123.9人だったので、明らかに東大合格者数は下がっている。
灘高生の合言葉「目標は理3、京医」
しかし、国公立大学医学部のランキングを見ると、2021年まで5年間の平均合格者数は灘高が同2位の80.0人。実にこの半数が東大の理3と京都大学医学部医学科、大阪大学医学部医学科で、いずれも理1、理2の平均偏差値を上回る難関だ。「目標は理3、京医」は灘高生の合言葉になっている。東大志向という以上に、有名国立大の医学部志向というわけだ。

大学通信調べ。◎印は私立、無印は公立を示す。合格者数は各高校への調査などから集計した。校名は現在の名称
20年以降、理3の合格者数が減少した理由について、灘高の和田孫博校長は「たまたま、その学年の医学部志望者が少なかっただけではないか。21年は珍しく文系が増えた。灘は親御さんが医師という生徒が少なくない。理3志望がどうなるか分からないが、医学部志望者が多いのはあまり変わらないと思う」という。
しかし、東大受験指導専門の進学塾「鉄緑会」の冨田賢太郎会長は「灘だけではないけれど、トップの進学校の生徒で国際数学オリンピックなどで活躍して理3に受かる実力があるのに、あえて理1を志望する生徒が徐々に増えている」と指摘する。
鉄緑会の拠点があるのは東京と関西の2地域だけだが、理3合格者の5割強はこの塾の出身者だ。冨田会長も理3出身だが、東京校の大半の講師も現役の理3・医学部の学生。灘や開成、筑駒、桜蔭など成績上位層の多くが入塾しており、トップ進学の生徒の志望動向はつぶさに分かる。