「やらんといけんよね」 広島銀は全員参加でDX人材に
リスキリング戦略窓口からコンサル営業に転身

広島市のひろぎんホールディングス本社
同社傘下の広島銀行では、4月からリスキリングを前提としたキャリアデザイン制度も導入した。1つは店舗の窓口業務などの社員がコンサルティング型の営業に転換するためのキャリアチェンジサポート。6カ月間のOJT研修を実施して、コンサル営業などに転身。入社7年内の若手社員向けの社内インターシップも始めた。各支店の社員が本部で、企画や商品開発などの実務を体験、各人の希望も加味しながら、今後のキャリアパスに繋げる仕組みだ。

ひろぎんHD人材開発室長の平山さん
一昔前なら地銀大手から他社に転職するなど考えられなかった。新卒で入社して一生添い遂げるのが当たり前だった。人材開発室長の平山剛寛さんは「今も東京などの企業と比べてうちの離職率は低いが、若い人の中には転職してしまう人もいる。しかし、グループの業務軸は金融以外にも広がっており、リスキリングすれば、様々な業務に携われる。自分がやりたいことがグループ内でも実現できる環境が整いつつある」という。
地域のためのキャリア共創センター新設も
広島銀行では、今年度から「チームビルディング研修」などのテーマ別研修をシラバス化した。従事者一人ひとりの自律性を重視し、希望者のみの受講となっている。これまで、指名型研修がほとんどだったが、自分のなりたい姿や実現したいキャリアに近づくため、必要な知識やスキルを主体的に考え、選択できる研修体系に切り替えている。
平山さんは「新しいことに挑戦するため、学ぶというのはひろぎんの昔ながらの文化でもある。FP1級の取得者数も地銀ではトップクラスだ」という。
もともと広島は『教育県』と呼ばれる。昔から大学進学率が都道府県で上位5位以内に入り、学びに対する意識が高い。同社は24年に広島市内に「ひろぎんキャリア共創センター(仮称)」を新設する。グループ社員の研修やセミナーだけでなく、地域の人材育成の場として活用するという。広島のリスキリングの一大拠点となるかもしれない。
(代慶達也)