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「自分が好き勝手に話したい気持ちをグッとこらえること」が大事という

「自分が好き勝手に話したい気持ちをグッとこらえること」が大事という

人間は大抵、自分が見たいことを見て、自分が話したいことを話して満足してしまうものです。でも、どんなに話の中身が良くても、言いっ放しでは駄目で、相手に理解してもらって初めて自分の話が人に伝わったことになるのです。この言葉を知ってからは、何事も自分の中で学ぶだけでなく、それを発信して周りに伝わるところまでのプロセス全てが学びであると考えるようになりました。そして「相手に伝えきれているか」を常に念頭に置き、自分自身を振り返るようにしています。

大事なのは自分が好き勝手に話したい気持ちをグッとこらえること。そして、相手が本当に聞きたいことや、知りたいことは何なのかを意識し、相手が理解しやすいように細心の注意を払いながら話すことです。自分ではなく、相手にフォーカスし続ける。これが簡単なようで案外難しいのです。気を抜くと、つい自分にフォーカスが移ってしまいますし、相手が家族や会社の仲間など親しければ親しいほど、「当然分かってくれるはず」と思い、どんどん言葉が雑になっていきますからね。

私が日ごろ、相手に伝えるために心がけている工夫を1つ挙げましょう。それは相手の興味、関心に合わせて理解しやすい事例を入れることです。例えば、「ダイバーシティー&インクルージョン(多様性と包摂、D&I)」という言葉を最近、あちこちで聞くでしょう。多くの会社がD&I推進を掲げていますが、そんな英語をいきなり言われてもしっくりこない人も多いはずです。私はユーグレナでD&Iを浸透させるため、恐竜やバナナの例え話をしました。当社の仲間には生命科学の知見がある人が多いので、彼らにとってそれが一番理解しやすいと思ったからです。

コロナ禍 恐竜絶滅並みのインパクト

生命科学分野での生態系の基本的な考え方の1つに「VSR」があります。VはVariety(種類)、SはSelection(淘汰)、RはRetention(保持)。激変する環境では多様な種類があった方がショックに対する回復力も強く、その中で優れた種が生き残り、繁栄していくというのが自然界の法則です。

その1番分かりやすい例が恐竜です。恐竜は他の生物に比べて圧倒的な強さを誇っていたにもかかわらず、多様性に欠けていたために、巨大隕石(いんせき)の衝突による環境の激変、寒冷化に適応できずに絶滅してしまいました。現代を生きる我々にとって、コロナ禍は隕石が落ちてくるのと同じくらいのインパクトがある出来事です。コロナ禍を含め環境の変化がこれだけ激しい時代に、かつての恐竜のような運命にならないためには、ダイバーシティーが大事だよねという話をすれば、生命科学を知っている人は理解しやすくなるでしょう。

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