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「生涯にわたって学び続ける」時代に

どの年代、どの地域に住んでいようと、「新しい長寿の時代」の核を成すのは、「マルチステージの人生と幅広い選択肢」だ。しかし、何の困難もなしにそこには到達しない。さまざまな社会的発明が必要だし、個々人も社会的開拓者として長寿の時代に対応し、適応する行動を取らなければならない。そのためには「一貫性があって前向きな人生の物語を紡ぎ出すこと、探索と実験と学習をおこなうこと、そして、ほかの人たちとの関係を構築・維持することを助ける必要がある」と著者たちはいう。

とりわけ大きな比重で語られるのは、マルチステージの人生を選び取るための「探索」のプロセスについてだ。「生涯にわたって学び続ける」。テクノロジーの進展が著しい移行期においてはこの姿勢がぜひとも必要だ。経済と社会の仕組みを検討する中で、企業、政府と並んで教育機関に1章が割かれているのも、この探索の核を成す「学び」の重要性ゆえだろう。

マルチステージの人生に対応する企業や教育機関の課題は、そのまま新たなビジネスチャンスへと直結する。これからの時代をどう生きるかを考えると同時に、これからの時代にふさわしい企業やビジネスを考える上でも示唆に富む一冊だ。「先週後半の入荷なのにランキング上位に入ってきた。注目度が高く、おすすめできる本」と店長の加藤よしこさんは話す。

金融業界のノンフィクション2冊が上位に

それでは先週のベスト5を見ていこう。

(1)ドラッカーに学ぶ「ハイブリッドワークライフ」のすすめ浅沼宏和著(ぱる出版)
(2)金融庁戦記大鹿靖明著(講談社)
(3)「型破り」な銀行の新ビジネス戦略浪川攻著(ビジネス社)
(4)LIFE SHIFT2アンドリュー・スコット、リンダ・グラットン著(東洋経済新報社)
(5)日経テクノロジー展望2022 世界を変える100の技術日経BP編(日経BP)

(紀伊国屋書店大手町ビル店、2021年10月25~31日)

1位は、企業研修などを手がけるコンサルタントによる新しい働き方の指南書。2位と3位には金融業界を取材するジャーナリストによる本が並んだ。2位の本は朝日新聞の経済記者が金融庁の異色官僚に焦点を当ててつづった金融事件ドキュメント。3位の本はフリーの金融ジャーナリストが最近の銀行の注目すべき経営戦略をメガバンクから地銀まで失敗事例も含めてルポした本だ。4位に今回取り上げた『LIFE SHIFT2』が入った。5位は多くの専門誌を持つ日経BPによるテクノロジー展望の2022年版。素材・エネルギーからIT、ヘルスケアまで100の技術を解説する内容だ。

(水柿武志)

LIFE SHIFT2: 100年時代の行動戦略

著者 : アンドリュー・スコット、リンダ・グラットン
出版 : 東洋経済新報社
価格 : 1,980 円(税込み)

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