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要点3 病気と健康との境目は曖昧

私たちの体内には日ごろから多くの細菌が存在しているが、この状態が病気か、というとそうではない。これらの細菌が体になんらかの不具合を起こしたとき、初めて病気といえる。また、健康な人の体にも絶えずがん細胞は生まれているが、免疫によって排除されている。がん細胞が増殖し、命を脅かす恐れを持ったときに病気と見なされるのだ。新型コロナウイルス感染症を診断するPCR検査でも、結果が陽性の人が全員病気とはいえない。陽性か陰性かはウイルスの断片が存在するか否かであり、治療や隔離が必要かはまた別の話。病気か否かを決めるのは確定的な指標ではなく人間自身であり、その境目の判断は難しい。

要点4 免疫は「非自己」を攻撃して排除する

免疫とは、体に侵入する微生物などの異物を排除する力のこと。免疫というシステムには、「自己」と「非自己」とを見分けて、「非自己」と見なしたものだけを攻撃する機能が備わっている。食物アレルギーをはじめとするさまざまなアレルギーは、本来安全なものにまで、免疫が過剰に反応してしまう現象だ。また「自己免疫疾患」といって、関節リウマチ、橋本病、1型糖尿病の多くなど、自分の体を異物と誤認して攻撃を加えてしまう病気もある。

要点5 がんの死亡率の増加理由は高齢化

1980年代から日本人の死因のトップを独走しているがん。この事実だけ見ると、「がん治療は全く進歩していない」と思うかもしれないが、それは誤りだ。がんの死亡率が高まり続けている最大の理由は、日本社会の高齢化。がんは圧倒的に高齢者に多い病気なのだ。医療の進歩によって寿命が延び、相対的にがんで死亡する割合が増えたといえる。実際には抗がん剤の種類が増え、手術の質も向上するなど、がん治療は近年、驚くほど進歩している。

(嶌陽子)

[日経ウーマン 2021年12月号の記事を再構成]

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