変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

高校時代の堤さんは野球三昧の生活を送る。強豪、県立静岡高校で、3回も甲子園出場を果たした。受験勉強を始めたのが高3からだったため、2浪を経て、立命館大学産業社会学部に合格した。

堤さんは入学後から猛ダッシュを切る。交換留学制度で米国に留学することを目標に、大学の授業と英語の習得に突き進んだ。英語を学ぶために留学するのではなく、英語で学問を学ぶために留学するという、ほかの学生とはひと味違う態度で臨んだ。

名門ノースウエスタン大学に留学。通例ならば受講できない授業も教授に直談判して認めさせるなど、日本人学生らしからぬ行動力を発揮した。

帰国後の就活も、他の学生とは違う動き方をした。大学のキャリアアドバイザー制度を活用し、大学OBOGやほかの社会人100人と面談した。

就活にまつわる逸話も独特だ。大手外資系企業の4年生向けインターンに、まだ3年生なのに間違えて申し込んで参加してしまった堤さん。ところが、先輩の4年生たちを超える大活躍があったのか、次の年の「内内定」の確約をもらってしまったのだ。

結局、その外資系とは別の外資系メーカーに就職を決めた。大抵の学生は遊びモードに入る中、堤さんは違った。マーケット、消費者、顧客を直接知る機会は会社に入る前の今しかできないとばかりに、週6日、店舗のレジ係りやホテルスタッフのアルバイトとしてがむしゃらに働いた。

入社式では新入社員代表として挨拶。地方支店に配属になった堤さんは、すぐに目覚ましい実績をあげる。仕事は商品見積もりの作成、販促提案、新製品提案、返品対応、各プロジェクト活動など、多岐にわたるが、あるプロジェクトで前年比420%というとてつもない売り上げを達成した。

成果に厳しい外資系で通用するという実力を示し、社内で昇進していくと思いきや、堤さんはあえて転職を選んだ。理由は「営業に向いているのは分かった。さらに厳しい環境に自分を追い込みたい。将来は、組織の中での出世よりも起業をしたいので、経営者と仕事をする機会を増やしたい」とのことだった。

転職後は、リクルートで観光関連の仕事に就いており、狙い通り、ホテル経営者やイベントの責任者など経営に携わる最前線の人たちと一緒に仕事をできそうだという。優れたビジネスパーソンと営業実績を競いつつ、トップセールスへの挑戦とロールモデルとしての経営者像を自分の中に蓄積している段階だ。

堤さんの成功要因の分析

では、堤さんの成功要因を分析していこう。

堤さんはまだ若く、社会人としてのスキル形成過程にあるが、既に仕事と学びのスタイルができており、今後も高速でそれを回して変化し続けるのに違いない。このスピード感こそが、時代の変化への適用力であり、成功につながる要素だ。

なぜそれが可能なのか。彼のこれまでの軌跡にヒントがある。

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