経営者のリスキリング 「マーケティングが最強」の訳
リスキリング戦略――おっしゃる通りかもしれませんね。どういう順番で学べばいいのでしょう。
庭山氏 経営層の方々は読書家が多いので、まずは基本書を読めばいいと思います。セオドア・レヴィットさんの「マーケティング近視眼」とかですね。ただ、読んだだけではマーケティングスキルは身につきませんので、実践と組み合わせることが大切です。ゴルフだって同じですよね。
リスキルした社員の処遇こそ重要課題
――もう1点、経営層の方々は、自身のリスキリングとともに社員にリスキリングしてもらうことも重要だと思うんです。ここはどう考えればよいでしょう。
庭山氏 30年前のMBA帰国組に活躍の場を与えなかったことで、こぞって外資系企業に行ってしまったことの二の舞いは避けなければならないです。社員がマーケティングを勉強したとして、そのスキルを生かせるポストや場を作り出せなかったら、やっぱり転職してしまいますよ。
営業、企画、技術、いろいろな職種の方がマーケティングの知識を身に付けることは、あらためてもうかる仕組みを作るという意味では、最も良いリスキリングだと僕は思っています。日本企業は、品質管理や生産技術はいまだに世界のトップですから。あとはマーケティングだけなんです。
本当は日本の雇用制度を政治がドラスチックに変革させつつ、経営者と社員のリスキリングを進めていくのがいいのでしょうけれど、現実はなかなかそうならないので、せめてマーケティングを学んでもうかる仕組みづくりをもう一度本気でやる、それが一番ではないですかね。
(聞き手・構成 桜井陽)