内向型が力を発揮する方法 自身の経験を詰め込み伝授
紀伊国屋書店大手町ビル店
ビジネス書・今週の平台臨場感あるアドバイス
全体は4部構成。パート1が仕事の戦略、パート2が人間関係術、パート3が静かな力の人前での生かし方、パート4で静かな人のリーダーシップを取り上げる。4つのパートは〈「核心」の能力を集中的に磨き上げる〉〈仕事の戦場で「味方」を増やす〉といったタイトルを持つ26の章に分かれる。それぞれのタイトルが静かな人が取るべき行動へのアドバイスになっているし、中を読めばさらにきめ細かく、心得ておくといい行動の仕方が次々に示される。
例えば、内向型人間が苦手と感じがちな「社交」について。〈社交は「戦略」がすべて〉というのが章タイトルに掲げたアドバイスだが、読み進めるとパーティーに参加する会場に入ったその瞬間からどうすればよいかが順を追って書かれていく。「ゆっくり」なじんでいく、「雑談のネタ」を用意しておく、主催者の「手伝い」をする、「少人数」の輪に入る……。こんな臨場感あふれるアドバイスが本書の持ち味になっている。
金融関係の本が売れ筋になること多い同書店だが、「スキル系の本としては珍しくよく売れている」と店長の桐生稔也さんはいう。自分の力を十分に発揮したいと模索するビジネスパーソンはどんなビジネス街にも多いようだ。
Web3の本が5位に
それでは、先週のランキングを見ていこう。
1位は名門ゴルフ場運営会社の事業再生ストーリー。人物ルポや企業、スポーツなど幅広い題材を取材するノンフィクション作家が著者だ。2位には、7月に本欄の記事「お金がたまる人は何してる? ベテランFPが日常読み解く」で紹介したマネー本が入った。3位は問題解決の本質を鋭く説いたヤフーCSO(最高戦略責任者)によるロングセラー。今回紹介した『「静かな人」の戦略書』は4位だった。5位には、大きな社会変革へとつながる「Web3」とは何か、その背景にある「DAO」というコミュニティーとは何かをインターネットの歴史をひもときながら解説した本が入った。
(水柿武志)