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何気ない雑談は社内の良好なコミュニケーションの基盤となり、その結果、自分の業務領域を超えた共通認識が形成され、組織や部署間の連携・意思疎通が円滑にできるようになります。では、雑談するのに適した人はどんな人でしょうか。それは現業務に直接関与していない人(例えば、かつてその業務に従事していたが異動や退職で今は外れている人、業務当事者でない立場で見れている人)がよいでしょう。

なぜなら、私の経験上、今の業務の渦中にいる人は、話は通じやすいものの業務運営に適応しすぎており、新しい視点が出にくいからです。むしろ、傍観しているくらいの人の方が広い視点から有益なヒントを得られる可能性が高いと思っています。

「リモートワーク」「対面会話の学び直し」 メリット両立を

自分が持っている情報や知見を周囲に伝えたり、発信したりすることは他人の手助けになるだけでなく、自分の考えを定着させる継続学習にもつながります。また、発信したことがきっかけで、これまで縁がなかった人との雑談に発展し、予期しないユニークな視点で考えるきっかけになったり、面白いヒントも得られたりするかもしれません。

自らの知見やノウハウを渡すことで他人が評価され、自分の評価が埋もれてしまうのではないかと心配する人がいるかもしれませんが、それは逆です。むしろ、自分だけのスキルと業績にしか関心がない人より、他人の力を引き出せる人の方がこれからは高く評価されるようになっていきます。

今後は周囲の知恵を集めながら、何らかの提案や助言をする業務が重要視されるでしょう。その時に、多様で意外な意見が即興で出る雰囲気や、マイナーな意見を遠慮なく言える場をつくれるか(組織の心理的安全性)が大切になります。このように考えると、「リモートワークによる現状の業務効率化のメリット」と「対面の話し合いによる変化適応に備えたリスキリングのメリット」をうまく両立させることは、今後の働き方を考える重要な着眼点と言えます。

油布顕史(KPMGコンサルティング)
組織・人材マネジメント領域で20年以上のコンサルティング経験を有する。大手金融機関・製造業・サービス業界の人事改革支援に従事。事業会社、会計系コンサルティングファームを経て現職。組織人事にまつわる変革支援-組織設計、人事戦略、人事制度(評価、報酬、タレントマネジメント)の導入・定着支援、働き方改革、組織風土改革、チェンジマネジメントの領域において数多くのプロジェクトを推進。企業向けの講演多数。

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