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岸和良デジタルオフィサー

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そんな中で、南アフリカ発のVitality(バイタリティー)という、今までの保険の常識を覆すような商品を住友生命で展開することになったのです。バイタリティーは一言でいえば、健康増進型の保険です。お客さまがウエアラブル端末をつけて運動をしたり健康診断を受けたりすることで、より健康になり、けがや病気のリスクを減らすことを目指します。

より健康になればお支払いいただく保険料も減ります。逆に運動などをしなければ保険料が上がります。さらに、スーパーやコンビニエンスストアなど様々な企業のポイントプログラムをひも付けることで、単なる保険商品ではなく、生活を支えるプラットフォームの役割も担える商品です。

このような画期的な商品を手掛けることになったのは非常に良かったことなのですが、実は社内を見渡すと、当時バイタリティーの運用を担える人材が圧倒的に不足していました。社員教育の体系もありませんでした。

エンジニア1000人を「シフト」

実際、バイタリティーという商品は非常に手間がかかります。1回売って、あとは保険料をいただくだけではない。例えば、運動をしていない人には「歩きましょう」と働きかけます。お客さまに寄り添う必要があるわけです。

正直、これまでの営業現場で成果を上げていた人の中には「なんでこんな面倒な商品を売るんだ」と反発した人も当時はいました。

保険は非常に専門性の高い商品でもありますので、前提となる知識がないとそもそもつくれない。デジタルや新規事業の知識がある人材を外部から採用しても、通用しないのです。自社の社員を再教育するしかありませんでした。

私は2016年にバイタリティーのプロジェクトのリーダーになったのですが、上司から関連会社を合わせて1000人いる既存のエンジニアについて、「新しいことができるように『シフト』してほしい」と言われました。まさに今で言うリスキリングですね。

そこで立ち上げたのが教育研修を担う「Vitality(バイタリティー)DX塾」です。

社員に絶対的に足りなかったのが、インターネット特有のビジネスモデルの知識と、顧客理解についての知識でした。もちろん、私自身に十分な知識の蓄積があったわけではありませんのでまず自分が率先してリスキリングしてから始めました。

適性を持つ社員をアセスメントで抽出

1000人のエンジニアから、ネット時代の保険商品にマッチする人材を効率的に選ぶため、アセスメントの力を借りました。①イノベーティブであるかどうか②困難に立ち向かう人間力はどうか③DXの知識の有無、この3つのポイントで人材を絞り込んでいったのです。適性のある社員は、バイタリティーDX塾で学んでもらいました。

「お客さまに価値を提供できる人材づくり」は、言葉だけ見ると単純です。ところが、教えればできるようになる、というものでもないのが難しいところです。

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