変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

例えば、「ある食品・飲料メーカーとバイタリティーを掛け合わせた新しいビジネスを考えてください」というお題を出したとしますよね。そのときに、どうすればいいのか教えてもらうという態度ではなく、自分で興味を持って、スマートフォンなども駆使して消費者について調べていき、必要なら本も買って読み、という能動的なプランナーのような人になってもらわないと困るわけです。

岸和良デジタルオフィサー

岸和良デジタルオフィサー

バイタリティーDX塾の研修は1日で完結する形です。だいたい3カ月に1回ぐらいのペースで開講してきまして、もう20回を数えます。必要な基礎知識を頭に入れ、ビジネスモデルを学び、サブスクリプションやプラットフォームなどのマーケティングに関する用語を覚えてもらいます。最後に顧客価値を高めるためのデザインシンキングのお題に挑んでもらいます。

塾は発足当初から、社外の方にも門戸を開いています。これまで大手の通信会社や電機会社、鉄道会社や自治体など様々な方に受けていただいています。社内外含めた受講者は600人以上になります。社外に向けて実施しているのは、オープンイノベーションの精神で協業先を拡大するという狙いもあります。

「できるわけない」から脱却するには

生命保険という、デジタルと縁遠い商品を扱ってきたわたしたちの中には、デジタルやデータといったものに対する苦手意識が根強くありました。いわゆるGAFAには最初からかなわないと思い込むような、負け犬根性が染みついていました。

しかし、保険会社には死亡データや医療データなど、ほかにはない貴重なデータが極めて豊富にあります。実際、バイタリティーのような健康増進型保険の加入者は、病気になる確率が低いというデータなども取れています。こういったデータを世の中に還元していくことで、会社として無二の価値を世の中に示していくことができます。

営業の担当者だって3万人もいますし、あらゆるチャネルでお客さまにアプローチすることができます。デジタルを掛け合わせることで、いままでにない強みを発揮することができるのです。

歴史の古い会社ほど変化に慎重で「できるわけない」というマイナス思考からスタートしがちです。それでも、届けたい価値は何なのか、お客さまが喜んでくださるサービスとはなんなのか。そういうところから考えて行動できる人材をリスキリングによって再び育成できれば、住友生命に限らず、あらゆる日本企業はまた強くなっていくと確信しています。

(聞き手・構成 桜井陽)

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