複業先は学校の「先生」が人気 未来の社会人に「リアル」を伝える
「複業先生」の魅力(前編)
あしたのマイキャリア
LX DESIGN代表の金谷智さん
未来を担う小中学生や高校生に自分のリアルな経験を直接伝えて、将来に役立ててほしい――。そんな思いを持つビジネスパーソンと教育現場をつなぐ複業人材プラットフォームが「複業先生」です。スタートアップ企業の「LX DESIGN」(東京都千代田区)が2020年に運営を開始。現在登録する「先生」は約1250人、導入校は300校を超えました。数ある複業の中でなぜ先生が選ばれているのか。その魅力や学校の反応、体験談などを2回に分けて紹介します。前編は同社代表の金谷智さんにインタビューをしました。
「若い世代に何かを伝えたい」ビジネスパーソンが増加
――「複業先生」はどのようなサービスですか。
「民間人材の知見を使いたい学校・教育機関などと、教育に興味があり、自分の経験や専門分野を若い人たちに伝えたいビジネスパーソンがそれぞれ登録し、学校が『先生』を指名して授業をするという、教育に特化した外部人材活用サービスです。20年6月からスタートして、ビジネスパーソンの登録人数とサービスを利用した小・中学、高校はともに、ここ1年で約2倍に増えました」
「教員の長時間労働が社会的な問題になっており、教育現場の働き方改革は喫緊の課題です。そのような状況の中で、専門性が高い分野から外部サービスを使ってみることを提案しているのが『複業先生』です。当社は同サービスを使う学校からの手数料や教育委員会からの発注、企業の人材育成・CSR(社会的責任)観点からの依頼などでビジネス収益を得ています」
――登録するビジネスパーソンの属性は。
「年代でみると30代が最も多く、約45%を占めます。次いで20代と40代が約20%ずつ。会社員のほか起業家やフリーランス、大学生など本当に様々な人が登録しています。教員免許を持っていなくても登録できるため、登録者の約75%は非保有者です。居住地は関東と近畿が約30%ずつですが、全国に散らばっています」
――数ある複業の中で「先生」が選ばれている理由をどう考えますか?
「登録者の共通項を考えると、もともと学校の教員になりたかった人、教育業界に関わりたいと思っている人だけでなく、『若い世代に何かを伝えたい』という考えを根本に持っているように感じます。一方、教育現場に目を向けると、教員不足や授業内容の多様化もあって、学校は外部の人材に助けてほしいと思っています。しかし、教員が業務を抱えてしまっていることも多く、何を任せたらいいのか分からないのです。個人と学校それぞれが共通した思いはあるのに、実現できないアンマッチが起こっているのはもったいないことです」