上司の「好き嫌い」より価値の創造 新しい人事評価軸
20代から考える出世戦略(122)
プロが明かす出世のカラクリ好き嫌いで評価できる仕組みには、組織の上下関係を維持しやすく、かつ会社に対して従順な人を増やせるという効果がありました。そしてメンバーシップ型と言われる会社では、組織の秩序を守ることの意義は大きかったのです。さらに、上司に適切な能力があり、その好き嫌いの判断基準が適切なものであればそれでも十分機能しました。
けれども実際にはそうでない会社が数多くありました。そこで例えば業績数値を評価しようとしたり、期初に立てた目標の達成度を評価しようとしたり、あるいは確認しやすい能力や、発揮している行動を評価しようとする仕組みなどが広がりました。結果として今、様々な評価の仕組みが多様性をもって広がっています。
好き嫌いよりも行動や成果が求められるように変化
会社の中で活躍し認められるようになるためには、自社の評価基準をしっかり理解しなければいけません。最初に記したように、評価基準とは「会社が大事にしている何か」だからです。上司に対して従順であることを求めているのか、業績か、能力か、行動か。それらを理解しておけば、効率よく会社で成長してゆけるからです。
ただ、会社によっては環境が変わっていても評価基準を変えていない場合があります。世の中の大半の企業が業績や行動を求めるようになっているのに、いつまでも情意だけを評価されていたのでは、成長しづらくなる場合もあります。
その会社に一生勤務するのならそれでもよいでしょう。
けれどもいつかは転職することを考えるのなら、先進企業の評価基準がどういうものなのかを理解しておいた方が良いのではないでしょうか。
今回皆さんにお伝えしたいのは、ノーレイティングと言われる評価手法であり、そこで基準となっている考え方です。
ノーレイティングの基本は、どのような成果を生み出してほしいかについて、しっかりと最初に合意し、その成果を実現するために上司が部下を支援し続けるコミュニケーションプロセスにあります。
それらのプロセスの中で、例えば四半期ごとに簡易評価を実施します。今後も活躍してほしいか、成長への期待度は高いか、来期も一緒に働きたいかなどをチェックして、それらを履歴として残します。
それらを踏まえ、期末には来期への期待を含め、昇給額や賞与額などを決める手法です。
期初に合意する成果は数値などで明確にしない場合もあります。期初に定めた数値に左右されるのではなく、今求められている役割の中で、環境変化にあわせて実現すべき水準が変わることもあるからです。
そこで求められる本質は、ビジネスとしての価値そのものをどうとらえるかです。