変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

「一方、採用試験では、調整能力やコスト感覚をアピールしましたが、実際に入ってみると、そもそも法律をはじめ専門知識もない、国会対応もわからない。そのような状況で、『前職ではこうでした』と言っても受け入れられません。自分は始めからこの役所で働いている人間なんだ、まずは役所の作法を身につけようと気持ちをリセットし、今でも『郷に入っては郷に従え』の精神でやっています」

――役所の作法とは?

「役所の基本となる政策を実行する手段は、法律と予算と税制だと思っています。入省後の実務を通してその重要性を痛感しましたので、早いうちにこれらの業務を体にしみこませないとついていけないと思い、法律、予算、税制を担当するポジションに異動希望を出していました」

働き方、適性、やりがいは

――働き方については、民間企業と違いはありますか。

「私の場合、民間時代よりも、より忙しくなったと感じます。部署や担当業務によるので一概には言えませんが、予算要求の時期や税制改正の対応がある8月以降は忙しくなりがちですし、1月からの国会期間中はさらに忙しくなります」

「テレワークについても部署や業務によりけりです。例えば国会議員等への説明が多い仕事をしていると、対面のほうが、都合がいい面はあります。転勤は民間企業と同様、家庭の状況や本人の希望等も考慮してある程度希望を聞いたうえで決めるようになってきていると聞いています」

――どのような人が国家公務員に向いていると思いますか。

「『自分で考えて行動できる人』だと思います。様々な立場の人から色々な意見や要望をいただく中で、これらと整合性を取りながら、どうすれば自分が考えている方針が通せるのか、事実関係の裏付けとともに、調整を経ながら自分の考えをもって妥当な道筋をつけていく、ときには強気の姿勢も必要かもしれませんが、それをいとわずにできることだと思います」

「前職でも『お客さんがこの資料を見たらどう思うか、もっと考えるように』と言われ続けていました。その経験は今でも色々な面で役立っていますし、『考える』ことを怠らないことは、どの仕事にも共通して必要なのかもしれません」

――国家公務員としてのやりがいは。

「これまで成田空港の機能強化や住宅税制、バリアフリー法改正、国際航空交渉などに携わってきており、現在はローカル鉄道のあり方についての企画調整業務を担当しています。業務を通じて、住民や事業者、地元自治体、財務当局・税務当局等、制度に関わりのある方々からよいものになって使いやすい、などの評価をいただくと、各方面と調整を重ねてきてよかったと達成感があります。今後も、引き続き色々な方々と様々な仕事をしながら、社会全体が最適な方向に向かうよう力を尽くしつつ、業務の効率化も進めていきたいです」

高橋晋也 
7年間の大手重工メーカー勤務を経て、2014年に経験者採用で国土交通省に入省。総合政策局、航空局、住宅局、海事局などを経て、現在は鉄道局鉄道事業課企画調整官。

(日経転職版・編集部 木村茉莉子)

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