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ベースアップがあたりまえだった時代、インフレ率と給与改定率は高い相関性を持って推移してきました。

なぜなら給与改定は、インフレに対応したベースアップを基本として、そこにさらに個々人の技能習熟などを反映した評価などで昇給をさせてきたからです。

インフレがデフレに変わってきた近年においては、このベースアップ部分がなくなりはしたものの、定期昇給などがあるため、昇給率は1%~2%で推移しています。

さて、それでは仮にこれから日本で5%ほどのインフレとなった場合に、給与はどう変わるのでしょう。ベースアップは復活するのでしょうか。

公器としての大企業では復活の可能性

筆者の見解では、インフレに対応した給与の増額は見込まれると考えています。

ただし、会社としての雇用・人事のあり方次第で、インフレ対応が二極化するでしょう。インフレが生じたら給与は増やすけれども、メンバーシップ型とジョブ型、それぞれの雇用形態によって、そのためのロジックが異なるということです。

まず、大企業を中心としてこれまで新卒一括採用を続けてきた会社では、ベースアップに対応せざるを得ないでしょう。大企業でも先進的な会社で、ジョブ型雇用に切り替えてゆくという報道はされています。しかしメンバーシップ型からジョブ型への転換は一朝一夕には進みません。なぜなら、これまで新卒として一括で雇用し、年功的に処遇してきた社員が大量に社内に存在しているからです。特に40代以上の社員の給与は、年功色が薄れているとはいっても、なおこれまでの昇給が蓄積された結果として高い金額になっています。生活を保障する生活給の要素が強いのがその特徴です。その金額が今の働きに見合っているかどうかは会社によって異なりますが、早期希望退職が広がっている背景には、給与と働き度合いでミスマッチが生じているから、とも考えられるでしょう。

そのような状況があるため、たとえ最近ジョブ型に切り替えたとしても、これまでメンバーシップ型社員を活躍させ続けるためにベースアップに対応せざるを得ないのです。

もちろんベースアップなんて死語だから対応しない、とする場合も出てきます。それでも近年の政府からの昇給目標数値要請があることを鑑みるなら、大企業を中心にベースアップが復活する可能性が高いと思われます。

さて、それではベンチャー企業などを中心とした、ジョブ型企業ではどうなるのでしょう。

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