変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

私のスキル習得

・一言一句、忠実にメモをとる

新人の頃、私はお客さまに「一言一句書き留めますから、今、どういう状況で何に困っているのか全て言ってください」とお願いし、自分の上司や先輩にそれを正確に伝え、もらったフィードバックを再び間違わないようにお客様に伝える、というのを愚直にやっていました。正しく伝えようとする過程で自分の頭も整理され、問題解決の引き出しも徐々に増えていったと思います。

・ビジネス書で対話術を学んだ

コミュニケーション力を高めるために本を読むことも多いです。例えば「他人を動かす質問」(大和書房)や交渉術、脳科学の本なども読みましたね。そこで学んだ、相手の期待値をコントロールする方法や、提案する際の選択肢の数や並べる順番についてのノウハウは、後輩や同僚にも伝えています。

カスタマーサクセスのキャリアパスは?

今のカスタマーサクセス部のメンバーの前職は、SIer(システムインテグレーター)や営業、経理などさまざまです。採用の時に見ているのは、お客さまと向き合うコミュニケーションが好きで、課題を解決したいというマインドを持っているかどうか。そこに何かしらの強みが加わると、良いカスタマーサクセスになれると思います。

デザイナー経験者であればUX(ユーザーエクスペリエンス)やリサーチする力に強みがあるので、お客さまの満足度を調査し、どこに満足していないかをリサーチしてその声を開発に届けることができるでしょう。SIer経験者の場合は問題解決能力や交渉力、プロジェクトマネジメント力に強みがあります。マーケティング出身であれば1対Nでのデータ分析に強みがあるので「テックタッチ」が得意だったりします。

カスタマーサクセスの経験を生かして、プロダクトマネジャーも兼務するようになった辻さん

カスタマーサクセスの経験を生かして、プロダクトマネジャーも兼務するようになった辻さん

「テックタッチ」というのは、カスタマーサクセスの領域でよく使われる言葉で、顧客が増えれば増えるほど1対1で対応するのが難しくなるので、1対Nであってもきめ細かな対応ができるようテクノロジーの力を活用して行う施策のことを指します。例えばマニュアルサイトやチュートリアル動画を用意したり、資料や勉強会などの案内をあらかじめ決めたスケジュール通りに自動配信するステップメールなどです。

お客さま側も、1対1で対応されるよりテックタッチの方が気持ちいいポイントがあります。マーケティング出身者はどこがそのポイントなのかをデータから探るのが上手だったりしますね。

次のキャリアについて、私自身はカスタマーサクセスの経験を生かして、もともと希望していたプロダクトマネジャー(PdM)にもなることができました。実は今、兼務しているんです。カスタマーサクセスの仕事をしていると、お客さまが導入の際に感じるペインがよくわかりますし、データも触っているのでお客さまのことをより深く理解できて、お客さまに関する解像度が非常に高くなります。そうすると、例えば一つの機能を加えることでお客さまにどういう影響を与えうるかがよりリアルに想像できる。これがプロダクトマネジメントをする上でも強みになります。

マーケティングの知見を吸収すればPdMや経営企画への道も(パーソルキャリア執行役員・doda編集長の大浦征也さん)


 
 カスタマーサクセスは顧客ニーズを吸い上げ、プロダクトを改善する機会が多いため、キャリアパスとしては、マーケティングの知見などを身に着ければプロダクトマネジャーや経営企画などの部署で活躍できる可能性もあります。
 現在、SaaS企業などを中心にさまざまな企業でカスタマーサクセス部門が新設されており、今後もこの動きは活発になるとみています。営業や接客経験のある方がカスタマーサクセスにジョブチェンジする事例なども増えているため、未経験でもチャレンジできる可能性もあるでしょう。

(ライター 石臥薫子)

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