無駄な紹介をしない、「省力型」転職エージェントとは
技術者の働き方ホントの話セレクションまず「あなたのレベルで紹介できるのは2社程度しかない」という可能性です。本人の希望は理解したが、エントリーしても能力面で勝算が低い。だからこの2社くらいで手を打たないか、と提案している可能性があります。
転職エージェントに手持ちの案件が少ない可能性もあります。あなたの希望する業種や職種の案件が少なく、2社しか紹介できないのかもしれません。1人がカバーできる範囲には限りがあるので、有能な転職エージェントであっても、自分の得意領域以外の案件は少ないということは珍しくありません。
転職には不確定要素が多々ある
もちろんこうして紹介された2社が自分に合っていて、幸せな転職を果たすケースもあるでしょう。本当に自分の特性や希望を理解し、ピタリと合う求人を紹介してくれたのかもしれません。
しかし気が進まない求人だったら、いくら「厳選した」と言われてもいやいやエントリーする必要はありません。またその転職エージェントと相性が合わないと感じるなら、無理して連絡を取り続ける必要もありません。
転職エージェントも人間です。仕事とはいえ、自分と合わない面倒な応募者に時間を取られるくらいなら、相性の合う応募者に力を入れようと思う人がいても不思議ではありません。
転職エージェントからすれば、転職支援には不確定要素が多々あります。応募者に案件を紹介して面接にこぎ着け、企業からめでたく内定が出ても、応募者が内定を承諾しないケースも珍しくありません。入社しても数カ月で不祥事を起こし、採用した側の企業からペナルティーを受けるケースもあります。そうしたリスクを承知で活動するのですから、少しでも自分が好感を持てる応募者とビジネスを進めていこうと考える転職エージェントもいるのです。
担当の転職エージェントと相性が合わなかったり、紹介された案件が自分の希望から遠かったりしても、どちらかが悪いというわけではありません。「たまたまお互いの条件が合わなかった」と考え、さっさと気持ちを切り替えて別の転職エージェントに連絡を取りましょう。
そしてたくさんの案件の紹介を受け、どんどん応募書類を出せばよいと筆者は思います。筆者は「まずエントリーして、内定をもらってから決断すればいい」という考えなので、転職のたびに30~50社は応募していました。幅広く応募することでいろいろな人に会えますし、会社見学もたくさんできます。それが純粋に楽しみでしたし、視野も広がりました。
効率的な転職活動が常に良いわけではありません。多少非効率でも、たくさんの会社を知り、たくさんの人に会うことは決して無駄にはならないと思います。
アネックス代表取締役/人事コンサルタント
早稲田大学商学部卒業後、IT企業、金融機関にて人事業務を経験。株式会社アネックス、一般社団法人次世代人材育成機構の代表として、働きやすい職場づくりを主なテーマとし、企業の人事、人材開発のコンサルタントを行っている。次世代人材育成機構では、代表理事として、学生の就職活動へのアドバイスや、社会人のキャリア支援を20年以上手掛けている。著書に『転職エバンジェリストの技術系成功メソッド』『オンライン講座を頼まれた時に読む本』(いずれも日経BP発行)がある。