博士人材は起業家向き 世界から早稲田で学び直し
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最新のサイエンスを活用した大学発ベンチャーが増加している。博士号取得者が起業するケースも増えてきた。ただ、IPO(新規株式公開)にこぎ着けるアントレプレナー(起業家)は1%にも満たないといわれる。スタートアップ成功の方程式はあるのか。アントレプレナーシップなどを研究する早稲田大学ビジネススクール(WBS)の牧兼充准教授に聞いた。
――そもそもベンチャー企業は、何をもって「成功した」と言えるのでしょうか。
アカデミックな世界では、定量分析を用いた研究がたくさんあります。一般的にはIPOのほかにM&Aにより株式を売却できたかどうかも成功指標になります。ただ、売却の場合、起業家当人にとってハッピーな売却かが課題。IPOや売却を達成するのはごくわずかですから、その手前として製品化に成功しているか、ユーザーに届いているかも指標になるでしょう。
加えてベンチャーキャピタル(VC)から企業価値や将来性が認められ、投資を実施してもらえているかも、マイルストーンとしての成功の指標になると思います。
個人的には、社会的な価値も大事だと思っています。例えば、『人の命を救う』という目的をもったベンチャー企業が実際にたくさんの人の命を救えていたら、それは成功といえますよね。
――スタートアップ企業が成功する秘訣、方程式はありますか。
やはり人脈とおカネは重要になります。サイエンスベースの起業の場合、優秀なサイエンティストとうまくつながり、彼らのグループに入っているかどうかが重要です。人的なネットワークのほかに、創業時点から良いVCとのネットワークを持っているかも大切です。ただ、起業に単純な成功の方程式なんてあるでしょうか。スタートアップは仮説検証、失敗を繰り返しながら、成長していくものだとも思います。