変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

――ビジネススクールは社会人のリスキリング(学び直し)の場でもありますが、WBSにも起業家志向の受講生が集まっているのですか。

私のゼミは理系出身者が多いのが特徴です。全日のゼミでは、欧米やアジア、アフリカ出身などの留学生も少なくありません。米国有名大学を首席で卒業したかなり優秀な人材もいます。夜間のゼミは今年で5期目、これまで30人あまりのゼミ生のうち6人は博士号を持っている学生です。

理系人材は仮説検証を繰り返して、失敗から学ぶことになれています。そういう意味では博士号取得者は起業家向きかもしれません。日本では「ポスドク問題」など、博士の負の側面が取り上げられることが少なからずありますが、今後は博士号取得者が起業するケースが増えていくと思います。サイエンス系の起業のみならず、地域創生を担う起業家として活躍する人も博士号取得者も増えている印象があります。

東大研究者が長崎で漁師に

――博士号取得者が起業して地域を支える人材になっているケースもあるわけですか。

コロナ以降、ゼミでは日本の地方を訪問し、地元で活躍する博士号取得者と交流を増やしています。例えば、東京大学の海洋物理学の研究者から長崎県の対馬に移住して一本釣り漁師になった銭本慧さんがいます。とても面白い方です。「持続可能な水産業の実現」をテーマに魚を直接販売する会社を立ち上げました。

仲介業者を通さないので、1匹あたりの漁師の利益が大きくなり、乱獲しなくても、利益を増やすことができます。もともと銭本さんはサイエンティストですので、仮説検証の能力が高く、またネットワークも広いのでSNS等を活用して東京などの飲食店ともつながっているそうです。まさに博士人材が起業して地域の活性化に貢献している事例と言えると思います。

――今後の目標を教えてください。

私たちのビジネススクールには国内外から優秀な人材が集まり、互いに刺激し合い、社会に貢献する人材が巣立つようになってきました。ただ、日本の大学・研究機関はもっとサイエンスベースのイノベーションを生み出す組織になってほしい。スタートアップを生み出し、育てると同時に、世界から起業家が集まってくるような環境をつくれればいいと考えています。そんな目標の中で、ビジネススクールが果たせる役割はもっとたくさんあると思っています。

(横山美紅 代慶達也)

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