変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック

「世界とは」から考えるメタバース

とりわけ重点的に筆が割かれているのは「創り方」のパートだ。「メタバースとは神の民主化である、世界を創造することだ」といい、「世界とはどういう形をしており、どういう仕組みで成り立っているのか、そこを理解しない限り、仮想世界としてのメタバースは創れません」と著者はいう。

ここからはかなり抽象的、概念的な議論になってくる。そこを丁寧に解きほぐすようにわかりやすく説明していく。まず示されるのが「世界とは、視認できるビジュアルとしての『視空間』と、社会的な機能と役割を持つ『生態系』が融合したもの」という大きな見取り図。この見取り図を頭に置いて、視空間や生態系がどのような要素に分解され、そのいちいちにどのように技術がかかわってくるかを辛抱強く読み取っていけば、著者のいうメタバースの創り方が見えてくるだろう。

手近な新ビジネスのヒントを得ようとして本書を読むなら、数ページで本を閉じることになってしまいそうだ。だが、仮想空間に「世界を創る」ことの意味を根源的に思考することは、あらゆる場面に応用が可能だと著者はいう。「世界を創るためには何が必要か」。メタバースを手掛かりにそんな思考でビジネスに向き合ってみるのもよさそうだ。

売れゆきについて同店店舗リーダーの河又美予さんは「入荷直後から反応が出て、今は2冊しか残っていない」と話す。メタバースとクリエーターエコノミーのつながりなども解説されており、広告・企画系のビジネスパーソンが多いこの地区では関心が高いようだ。

1位に『クリエイティブ課題解決術』

それでは、先週のベスト5を見ていこう。今回は同数の3位が4冊あって6冊のランキングになっている。

(1)非クリエイターのためのクリエイティブ課題解決術齋藤太郎著(東洋経済新報社)
(2)世界2.0 メタバースの歩き方と創り方佐藤航陽著(幻冬舎)
(3)数値化の鬼安藤広大著(ダイヤモンド社)
(3)もう一度、歩きだすために伊集院静著(講談社)
(3)2022-2030 大予測日経トレンディ編(日経BP)
(3)「言葉にできる」は武器になる。梅田悟司著(日本経済新聞出版)

(リブロ汐留シオサイト店、2022年3月28日~4月3日)

1位には、2月に本欄の記事「クリエイティブな課題解決とは フツーの会社員に伝授」で紹介した本が入った。企画・広告系の本がよく売れるこの店らしい売れ筋だ。2位に今回紹介したメタバースの本。4冊ある3位には、ヒット商品予測のムック本、作家・伊集院静氏の新刊、言葉をめぐるロングセラーに加えて、3月に本欄の記事「いったん数字にして考える 仕事ができる人の思考法」で紹介した仕事術の本が入った。

(水柿武志)

世界2.0 メタバースの歩き方と創り方

著者 : 佐藤 航陽
出版 : 幻冬舎
価格 : 1,650 円(税込み)

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedo日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック