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企業や個人の間でリスキリングの機運が高まるなか、大学がリスキリングのための講座を開設したり、拡充したりする動きが相次いでいる。これまで、大学の社会人向け講座と言えば、教養を身につける生涯学習向けの講座が多かったが、特に2022年度以降、仕事に直結した講座や、デジタル分野の講座が増えている。

NIKKEIリスキリングは、2022年夏ごろ以降、新たに始まったり、拡充したりした大学のリスキリング支援について、各大学への取材をもとにまとめた。個人が興味のある1講座から受講できるものから、企業向けのプログラムや、大学院が社会人向けに新設したコースまで、さまざまなものがある。

オンデマンドですぐに受講できるものや、夏頃に募集が始まる講座も多くあるため、気になるものがあれば、各大学のホームページでチェックしてほしい。また、今回ピックアップしたもの以外でも、全国の各大学はリスキリング関連の講座を強化中なので、自分が気になる大学や分野を個別に検索するのも手だ。

1.大学が提供するリスキリング講座

三重大学(津市)

三重県を中心とした東海地域の企業や自治体のニーズを聞き取ったうえで、リカレント教育センターが講座の組み合わせを提案し、大学の授業を企業の社員が聴講できる「オーダーメードプログラム」を2023年度から始めた。

すでに、プログラムに参加する企業の社員がロボット工学、機械力学といった工学分野や、経営、食品衛生などに関する授業を受講しているという。

今後は、企業・自治体ごとのニーズに応じた新たな授業・教材を開発し、提供していくことも予定している。

ものつくり大学(埼玉県行田市)

社会人向け講座を昨年度の1講座から5講座に拡充する。今後、「ドラッカー経営学の真髄」「建築生産入門 初級編2」「半径5mの経営学 『ドラッカー流』強みの見方・育て方」を順次、開講予定だ。講座はオンデマンド配信で実施される。1講座あたり全3〜8回で、受講料は1〜5万円。

東京大学(東京都文京区)

リスキリング工学プログラムを2022年秋から開始した。「グローバル消費インテリジェンス(AI講座)」「Web工学とビジネスモデル」「近未来金融システムの創成」などの講座を提供している。受講するためには、法人単位で会員になる必要がある。

東北大学(仙台市)

2022年10月、企業のDX人材を育成する「データサイエンスカレッジ」を開設した。「統計学入門」「データリテラシー」「デジタルマーケティング」など、東北大学や提携企業による10講座をオンデマンドで開講している。受講料は講座によって、8800円〜16万5千円。

ほかに、主に企業向けに、オンデマンドによる学習と、データ分析の実践に取り組むzoomでの2週に1回の実習を組み合わせた「実践トレーニングコース」、講師が企業内のデータ活用プロジェクトに参画し、コーチとして支援する「個別プロジェクト支援コース」もある。

実践トレーニングコースは、10月に開講予定で、9月中旬まで申し込みを受け付けている。

2.大学が経済界・企業と連携したリスキリング

下関市立大学(山口県下関市)

山口フィナンシャルグループなどと包括連携協定を結んだ。今年秋ごろから、データサイエンス分野でのリスキリング講座を開設予定だ。協定を結んだ山口フィナンシャルグループの従業員や、地域の企業で働く人などの受講を想定している。

帝京大学(東京都板橋区)

2022年7月、アクセンチュアと組み開発した法人向け人材育成プログラムを開始した。管理職候補や管理職向けの「ネクストリーダーズキャンプ」と、新入社員・若手向けの「ブリングアウトジャム」2つのコースがある。

「ネクストリーダーズキャンプ」は、週3〜4時間、8週間〜。期間や規模は、企業の希望に応じる。経営層に意図を伝える際に必要な知識などを学び、担当業務領域の課題改善に向けた提言を作り上げる。

「ブリングアウトジャム」は、不定期で2週間〜。どの業界でも必須のビジネスの知識やスキルを体系的に学んだ後、実践的な演習も積む。2023年秋や2024年春に入社する会社員を対象とした講座は、今後、詳細が決まり次第、案内される予定だ。

3.大学院の新コース新設、募集人員の拡充

横浜国立大学(横浜市)

2023年度、社会人向けに、経済学の専門性と、データサイエンスに必要な情報処理・統計分析能力を身につけ、修士号を取得できる2年間のコースが新設された。企業の調査研究職や官公庁の政策担当者など向けの「経済Data Scienceコース」と、地域課題の分析力・課題解決のための提案力を鍛える、自治体の実務担当者など向けの「地域政策Data Scienceコース」の2つがある。

入学直後には、経済学で用いられるデータ分析の基礎的な内容を学ぶ「リスキリング基礎教育」も実施されており、大学院での専門的な学びを無理なく進めていけるよう、配慮されている。

オンライン方式と対面方式を両方活用し、アーカイブ動画も視聴できるなど、社会人が学びやすいよう設計されている。

初年度の入学金・授業料の総額は、約82万円。入学時期は4月のみ。出願は7月に始まり、9月に小論文・面接の試験が実施される。

今年度の入試は、昨年12月に出願期間があり、2月に小論文や口述の試験があった。

埼玉県立大学(埼玉県越谷市)

2025年度から、大学院保健医療福祉学研究科・博士前期課程(原則2年)で看護やリハビリテーションなどを学ぶ学生の定員を、現在の20人から38人へとほぼ倍増させる。保健師や看護師、理学療法士など保健医療分野の仕事に関係する社会人を多数受け入れ、最新の知見や医療政策、福祉政策などを教えることも想定する。

ライター 吉川真布(株式会社Linkard)

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