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マサチューセッツ工科大学(MIT)の助教時代、教員採用にかかわっていたときのことを思い出す。2014~15年だった。MITは研究者も「男性」「白人」に属性が偏っていたという反省により、女性やマイノリティー人種を積極的に採用するポジティブアクションを取っていた。

そこでは高齢の教授から「不平等だ」などと反対意見も出たが、スルーされた。現状の偏りを無視したままの「平等」は公平ではなく、特定の属性に偏る構造にメスを入れなければ研究環境は向上しない、という大学の総意があった。東北大も同様の考えがあるのだろう。

私は女性が「自分も挑戦していいんだ」と思える環境づくりも重要だと考えている。女性は自分の実力を過小評価する「インポスター症候群」などにより、能力に見合ったポストに手を挙げない傾向がある。東北大の取り組みは、女性に届きやすいという意味でも評価できる。

スプツニ子!
アーティスト、株式会社Cradle代表取締役社長。インペリアル・カレッジ・ロンドン数学科、情報工学科を卒業後、英国王立芸術学院デザイン・インタラクションズ専攻修士課程修了。テクノロジーによって変化していく人間の在り方や社会を反映した映像インスタレーション作品を制作。2013年マサチューセッツ工科大学(MIT) メディアラボ 助教に就任。その後、東京大学大学院特任准教授を経て、19年から東京芸術大学デザイン科准教授。https://cradle.care/
[日本経済新聞朝刊2022年6月6日付]

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