人間関係表すリファレンスチェック 愛あるコメントも
解剖リファレンスチェック(後編)
あしたのマイキャリアコロナ禍で急速に広がるリファレンスチェック
――リファレンスチェックサービスが広がっている背景には何があると見ていますか。
「back checkでのリファレンスチェック実施人数は、コロナ禍が始まったころは2000人前後だったものが、2022年4月時点で累計2.5万人を超えました。利用業界はIT、コンサルティングに続いて、証券やカードなど金融系で増加傾向にあります。大手企業での導入も増えています」
「背景には、選考のオンライン化があります。理由は大きく2点。1点目は、これまで対面面接を通して感覚的に把握できていた『自社の組織カルチャーに合うか』が、オンライン面接では見極めにくくなったこと。2点目は、選考をオンライン化しながらも採用における意思決定の精度を担保する必要があること。こうした理由からオンライン完結型のリファレンスチェックサービスが注目を集め、コロナ禍に入って半年ほどたった頃から導入希望の問い合わせが急激に増えました。コロナ禍による選考のオンライン化がなければ、これほどのスピード感で大手が利用するようにはならなかったのではと考えています」
大手企業で導入増 新規事業やDX人材見極めのため
――大手企業が導入を進める理由は、ベンチャー企業と違いはありますか。
「ベンチャーが組織へのカルチャーフィットを重視し、ミスマッチ防止を第1に考えるのに対し、大手では専門スキルを適切に見極めたいという希望が大きくなる傾向にあります。背景には、目まぐるしく変動するビジネス環境に対応するため、中途採用の位置づけが変化していることが考えられます。これまでは欠員補充だった採用の目的が、新規事業創出やデジタルトランスフォーメーション(DX)推進など、社内になかった新たなスキルや経験を持つ人物の採用へと変化しました。その際、専門性を踏まえた判断が難しいため、一緒に働いたことがあり、同じ専門性を持つ立場からの評価を参考にしたいというわけです」
「もう1つの違いは、採用基準の前提として、ベンチャーでは成果を出しやすい人材を求めるのに対し、大手では問題を起こさない人材を求めること。SNS(交流サイト)利用の浸透とともに、"炎上"するような発言・行動がないかを確認したいといったニーズも高まっています」
――それもリファレンスチェックなのでしょうか。
「一般的には、第三者からの評価を集めることを『リファレンスチェック』と呼びますが、経歴詐称や犯罪歴の有無などの事実確認を含めてリファレンスチェックと考える企業もあります。back checkではそれらの事実確認を『コンプライアンスチェック』と呼び、『リファレンスチェック』と区別しています。企業によって『バックグラウンドチェック』『信用調査』と呼ぶケースもあります」
「SNS上も含めて『問題を起こしたことがないか』を確認したい大手企業のニーズを受け、back checkでは今年から反社会的勢力との関与や犯罪歴の有無などの基本的なコンプライアンスチェックに加え、SNS行動歴なども調査対象項目に含められるよう、機能提供範囲の拡張を進めています」