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格好は付けず、仲間に聞くIT学習法

「ダウンロード数を上げるにはどうしたらいい?」「ユーザー体験向上には何をしたらいいのか?」。知ったかぶりは一切やめて、疑問に思ったことは何でもメンバーに聞き回った。「格好を付けず、現場のプロにどんどん聞くのがもっとも効率的だ。IT関連のセミナーやスクールに行く暇などない」。とにかく新たな知識をインプットしながら、アウトプットに移すことを繰り返した。

米田さんは社内でIT起業家に転身した

米田さんは社内でIT起業家に転身した

ベータ版のアプリを作り、実証実験やテストマーケティングも繰り返した。事業の手応えを数値に落として、経営幹部を説得,事業化にこぎ着けた。「旅アプリは賃貸オフィスビルのようなモノだ。我々がプラットフォームを提供し、交通や観光関連会社と一緒にコンテンツを作り、マネタイズ化する」というビジネスモデルを構築した。

自分自身でも現地を回ってコンテンツを磨き上げた。「静岡には何度も通いましたね。東海道は約500キロ、そこの7千カ所をチェックして回った。地元の人の知らないすてきな場所を知ることもできた」という。動画や音声ガイドなど様々なコンテンツを制作し、ポイント制なども導入した。

「膝栗毛に旅の途中で撮った写真を入れてゆくと、ポイントがどんどんたまり、うちと提携しているカフェなどでコーヒーが無料で飲めるとか、うちのグッズと交換できるなど様々なサービスを提供している」と米田さんは語る。

コロナ下で、リモートワークによる在宅勤務が増加、都内のオフィスを削減するIT系企業が相次いだ。しかし、米田さんは「東京都心部の大丸有エリアの価値はあまり影響していないと思う。交通ネットワークの中枢拠点で、圧倒的に利便性が高い。IT系のスタートアップは渋谷に集まっているが、海外系ベンチャーは大丸有を選択するケースが多い」という。実際にコロナ下でも三菱地所の業績は堅調で、高収益モデルは崩れていない。

一方で同社は、都心のオフィス中心から住宅やエンターテイメントまでカバーする街づくりにシフト、BtoCビジネスを今後拡大してゆく方針だ。米田さんがアプリ事業で培った知見や経験もいかされるかもしれない。

ただ、「次の目標なんてまだ考えられない。膝栗毛のダウンロード数は6万件を超えたが、最終目標は170万ダウンロードなのでまだこれからだ」と笑いながら話す。〝東海道中膝栗毛〟の旅はまだ終わっていない。

(代慶達也)

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