変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

会長も社長も例外なし、みんなでDX対応

三井物産では人材をa~cの3つのグループに分けた。aは従来のビジネス人材。bはDXビジネス人材、cはDX技術人材で、bには入村さんが属している。同社では24年3月期にはグローバルで100人の育成を目指している。cはAI技術者やデータサイエンティストなどの専門人材だ。全社員にデジタルの基礎学習修了を必須とし、a+以上の取得を推奨している。

三井物産のDX化を推し進めた真野さん

三井物産のDX化を推し進めた真野さん

同グループのDX化の仕掛け人で、デジタル総合戦略部長の真野雄司さんは「会長や社長など経営陣でも例外なし。ビジネスとデジタルの両方が分からなければ、世界では戦えない」と強調する。現在、グループを含む対象社員の約9千人のうち2千人余りがa+となった。オンライン学習サービス「ユーデミー」を活用して全社員がリスキリングに挑んでいる。

DX事例次々、データ武装の商社パーソンに

もちろん中高年の社員の中には、DXに消極的な人もいる。ただ、中島さんは「部長や室長などマネジメント層も、デジタルスキルに対する理解は必要で、そうでなければ部下が何をやっているかも分からなくなるし、変革に向けた部下の貢献を上司が阻害しかねない」と指摘する。

真野さんは「DXの成果の実例をどんどん示し、社員のモチベーションアップを促している。実際に現場で体験して自分もやれたという気持ちを持つことが大事。やる気スイッチを入れるというよりも、〝やれたスイッチ〟が入るように後押ししている」と語る。AIを活用した探鉱の効率化や船舶運航の最適化、医療データの効率運用、次世代モビリティやスマートシティの環境対応――。各本部が競うようにDXプロジェクトを次々進めている。

もともと総合商社にとっては「情報」が命だった。以前は卓越した商社パーソンの勘と経験に頼っていた面が少なくない。しかし、現在は商機を最大化し、リスクを最小化するには、様々なビッグデータを収集・分析して解を導き出す必要がある。

真野さんは「世界のあらゆるビジネスに携わる我々にとってDX対応は避けられない道だ」という。個々の力を重視してきた〝人の三井〟、最新鋭の「データ武装」をした商社パーソンに変貌しようとしている。

(代慶達也)

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