中高年でも2日でDX人材?ライフイズテック流研修法
リスキリングプレーヤーズDXリーダーに不可欠なビジネス設計と回す力

ライフイズテックCOOの小森さん
日本の企業の場合、リーダー層はマネジメント以上にプレーイングに走りがちだと言われてきた。営業担当のリーダーは、これまでに培った人脈や経験を生かして、新たな商品やサービスを売ろうとするケースが少なくない。
しかし、DX時代には全く使えないリーダーになってしまう。あくまでもリーダーに求められるのは、新たな戦略や戦術を考えてビジネスモデルを設計し、それをチームのプレーヤーとエンジニアに理解してもらい、ビジネスを回す力なのだ。
もちろんエンジニアと対話したり、時にはケンカもでるほどの共通の言葉と価値観は不可欠だが、「単純にデジタル技術にたけた人間がDX人材になれるわけではない」と小森さんはクギを刺す。
ビジネスの設計図にあたるフローチャートを作成できれば、ノーコードでアプリを開発したり、チャートに従ってエンジニアがソフトやサービスを構築できるわけだ。「我々のDX研修では、初日に必要な知識のインプットを行い、2~3日目に実際にフローチャートを作成してもらう」という。
中高生向け学びのノウハウを大企業にも
これまでライフイズテックは、中高生を対象にした短期間集中型のプログラミング教育を提供してきた。「デジタル教育を通じてイノベーション人材を育成したい」と、もともと教師志望だった同社社長の水野雄介さんは、創業目的を語っていた。水野さんは全国有数の進学校、開成高校などで非常勤講師も務め、学びのノウハウを磨いてきた。
創業して12年。主に中高生を対象にキャンプやスクールで5万人以上、学校向けの教材で50万人向けにサービスを提供してきた。受講生から起業家も輩出するなど一定の成果を上げたが、テクノロジー業界に進む人ばかり。しかし、「IT以外の既存の業界こそDX人材は必要に迫られている」とDX人材育成事業に乗り出すことにしたという。豊田自動織機のほか、丸井グループやヨークベニマル、キヤノンマーケティングジャパンなど大手企業中心に30~40社が同社の研修プログラムに参加している。
デジタル技術はツールにすぎない。DX人材に求められるのは本来のリーダーに不可欠なビジネス構想力、そしてチームを回す力。それに気づくだけでもこの手のDX研修は必要かもしれない。
(代慶達也)