副業で得られる3つのポイント スキル生かし経験蓄積
あしたのマイキャリア「利用企業数は月1.5倍ほどの伸びです。企業サポートを強化したことで、企業側の課題だった副業案件の切り出しがしやすくなったことが背景にあると思います。特にプロジェクト型が増加しています」
やりたいことに絞ってスキル伸ばす
――登録者の年代、職種で多いのは?
「現在の登録者数は約5000人です。7割が会社員で、下は20代、上は60代、70代まで幅広く登録があります。ボリューム層は30代後半〜40代半ば。役職では課長、部長クラスが多く、一定の役職以上に就いている人が多いです。職種については偏りがなく、ほぼ全職種の方がいます。居住エリアは日本の人口分布とほぼ同じです」
「副業を始める理由は、収入アップもありますが、最近は『自分が持つスキルや知識を還元したい』『自分が興味のある分野に携わりたい』という声を聞きます。会社はゆるやかなローテーションの中でやりたいこともやりたくないことも体験していくものですが、そのなかで本当にやりたいことに絞ってスキルを伸ばしたい人が増えています」
――副業案件への応募、採用はどのようにして決まるのですか?
「私たちは採用には関与せず、企業と応募者の間で決めてもらいます。多くは、応募後にチャットやオンライン打ち合わせを設定し、企業がより具体的な内容を、応募者は自分ならこんなやり方ができるといったすり合わせを実施し、お互いが判断をするというパターンです。企業にとって任せたい仕事・役割を完璧に文章に落とし込むのは難しいので、大枠を募集要項で伝えて、詳細は個別コミュニケーションで確認することが多いですね。決まりはなく柔軟に、というスタンスです」
――副業はキャリアアップにどのような効果がありますか?
「大きく3つあると思います。1つめはフラットな外部評価を得られること。2つめは人脈づくり。3つめは、自分が将来やりたい仕事や就きたいポジションがある場合、副業によって自分に足りないスキル・経験を補うトレーニングができることです」
「特に3つめは、自律的なキャリア形成が求められる時代に大切な視点だと思います。例えば、営業しか経験していない人が転職してデジタルマーケティングの仕事をしたくても、転職市場で自分に合った未経験者OKの求人に出合うのは難しいでしょう。副業であれば、実務経験は浅くても、持っているスキルや知識がフィットすれば可能な案件もあります。そこでデジタルマーケティングに近い経験を積み、ある程度実績を出せるようになってから、転職や社内異動を検討するほうが望むキャリアプランに近づけると思います。ハイプロダイレクトは『知識はあるが未経験』レベルのスキルも登録することができます。副業は限られた期間の中で経験や知識を得ることができるので、フットワーク軽く、いろいろなチャレンジができるのも魅力です」
「私たちのサービス利用者の中で、30代後半・広告代理店プロジェクトマネジャーの方が、興味のあった人事職で副業を始めて、商社の戦略人事に転職したケースがあります。プロジェクトマネジャーの戦略を立てるスキルと副業で得た人事の経験がうまくかみ合った事例です」
――ビジネスパーソンが副業するときの注意点を教えてください。
「前提として、自分の会社が副業を承認しているかを確認しましょう。また、年間で副業収入が20万円を超えると確定申告が必要になります。そして一番重要なのは、副業にあてられる時間の把握です。過重労働になって本業がおろそかになる、できると見積もったが実際は時間を作ることができず依頼者に迷惑をかける、といったことがないよう、副業に使える時間がどのくらいあるのかを調べましょう。1週間だとブレがありますから、1カ月ぐらいの平均を見てください」