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定期的に瞑想、ハートフルネスな職場づくり

田中氏 実は個人的に定期的に、マインドフルネスをやっている。1~3分間だけど、瞑想をして心を整える時間を設けている。今は朝から晩までメールが飛び交い、ビジネスのプレッシャーは少なくない。どの職場も人手不足だが、日本の企業は、労働生産性が低いと社員をリスキリングして競争力を回復しようとしている。しかし、その前に心のケアが必要だと思う。

ハートフルネスな職場づくりを訴える重松先生

ハートフルネスな職場づくりを訴える重松先生

重松氏 シリコンバレーにはウェルビーイングな職場づくりを目指す企業が少なくない。もちろんイーロン・マスク氏のようにハードワークを求めるリーダーもいるが、ウェルビーイングはサスティナビリティー(持続可能性)を担保するためにも大切な要素だ。マインドフルネスは個人をベースにしてきた概念だが、これからはみんなで幸福感を共有し、ハートフルネスな職場などのコミュニティーをつくることが重要だと思っている。

田中氏 ハートフルネスな経営を貫くことは容易ではない。いかにして心理的な幸福感の高い職場を実現するのか。

重松氏 日本にも「敬天愛人」を掲げる京セラなどの会社もあり、スタンフォードでも取り上げられる事例にもなっている。関西の大手食品会社で、中高年社員向けにハートフルネスの研修を実施したが、手応えを感じた。多忙な職場の中で、普段は感謝の気持ちは忘れがちだ。しかし、研修後に彼らは、自分の人生を大事にし、周りの人に感謝しよう、そのためにはコミュニケーションも良くしようと、大きく意識が変化していった。

1対1面談、まず部下を尊重、何者かを深掘り

田中氏 どんな対話法なのか具体的に教えてほしい。日本では上司と部下が1対1で面談する「1on1(ワンオンワン)ミーティング」が増えている。君の目標、パーパス(存在意義)は何だ、どのようにしてパフォーマンスを上げるのかと問う上司が多い。ハートフルネスな職場では上司は、部下にどのように問いかけるのか。

重松氏 まずちょっと修正すると、米国ではワンオンワンではなく、1to1(ワンツーワン)という。私であれば、部下と面談する時に、まず尊敬の念を示す態度をとり、OOさんのことを部下として、一人の人間として気にかけている、サポートしたい、と伝える。それから最初にこう問いかける。「What are you grateful for in this moment(この瞬間あなたは何に感謝しますか?)」。今、何に感謝しているのか、健康、家族、仕事、あなたを生き生きさせるのは何かを軽く問いかけるのです。

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