変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

田中氏 別にキャリアの話でなくてもいい。家族の話でも大丈夫ですね。

重松氏 そうです。そこで色々本音で話をしてもらい、続いて「Who are you?(あなたは何者ですか)」と次の話題に入ります。ここから相手がどんな人なのかどんどん深掘りしてゆきます。何を学び、どんな能力やスキルを磨いてきたのか、丁寧に対話を重ねて、引き出してあげるのです。その部下の将来の夢や目標も見え、どう対応したらいいのか、育成法も分かってくるでしょう。

田中氏 将来ビジョンを見据え、相手を第一に考えた本質的な質問ですね。最後の問いは何ですか。

重松氏 「What can we do to make your job better?」(あなたの仕事をより良くするために、私たちにできることは何ですか)。ワンツーワンでは、部下の意識が高まり、仕事へのモチベーションが上がらないと意味がありません。

リスキリングの前に心のケアが大事と語るタナケン先生

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田中氏 日本のワンツーワンでは、上司が今の目標やパフォーマンスばかりを話して、3~5年後にどうなりたいかを部下に問わない。結局、上司が目標を指示して終了というケースが少なくない。このようなワンツーワンでは、やる気や自信を失う部下が増えるばかりだ。そうではなく、あくまでも部下に語らせ、気づかせるのが肝要だというわけですね。日本でもハートフルネスな職場は作れますか。

脳は変われる 前向きな武士道精神で

重松氏 もちろん可能だ。脳の働きは何歳からでも変えられる。日本でもウェルビーイングを目指す会社は増えている。私はこれまで多くの企業の経営者と仕事をしてきたが、彼らは、自分の仕事に意味と目的を見だせるリーダーになりたいと考えている。彼らは、職場に感謝や喜び、思いやりをもたらす必要性を感じているのだ。また、職場を変えたい、人生のバランスをとりたいと願う若者たちにも多く出会った。

田中氏 確かに喜ぶ、感謝という意識を持ってキャリアを重ねるのは大事だ。私の場合、キャリアについて考え始めたのは友人の死がきっかけ。限られた人生をどう生きようかと。自分は何ができるのかと考えた。

重松氏 スティーブ・ジョブズ氏も言っている有名な言葉だが、「今日が最後の日なら何をやるのか」と自問自答するといい。日本の「武士道」にも通じるが、死を見つめるからこそ、今日という日を大事に、明るく元気に前向きに働こうとなるだろう。そういう意味でもみんなと一緒にハートフルネスな世界をつくることは大切だと考えている。

(聞き手は代慶達也)

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