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京セラ創業者の稲盛氏が考えた「人生の方程式」

そんな高橋さんが、同書の中で特に若手に読んでもらいたいという箇所は2つ。1つ目は、稲盛氏が自身の人生を振り返って見出した方程式「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」について書かれた部分だ。

「人生や仕事の結果は、3つの要素の足し算ではなく、掛け算であるというのがポイントです。能力があっても熱意がなければ良い結果は出ないし、逆に能力が乏しくても、燃えるような情熱で事にあたれば、先天的な能力に恵まれた人よりはるかに良い結果が得られると書かれています。さらに稲盛さんは、3つの要素の中で最も大事なのは『考え方』だと強調しているんです。『考え方』というのは、心のあり方や生きる姿勢のこと。プラス100点からマイナス100点まで幅があり、考え方のベクトルがマイナスの方向を向いていると、どんなに能力と熱意に恵まれていても最終的な結果はマイナスになってしまうと説いています」

高橋さんは10年ほど前に同書に出合い、感銘を受けたという=中外製薬提供

高橋さんは10年ほど前に同書に出合い、感銘を受けたという=中外製薬提供

稲盛氏は同書で、中学受験に失敗し、結核に侵され、大学受験でも第1志望が不合格だったこと、さらに就職もうまくいかず、世の不公平や己の不運を呪った過去を告白している。だが、どうにか入社できた京都の碍子(がいし)メーカーで「これ以上境遇を呪っていてもしかたない」と気持ちを180度切り替えて研究にまい進。ついにファインセラミックス材料の一つ「フォルステライト」の開発に日本で初めて成功し、それが京セラ創業へとつながった。その経験から「運命は、自分の心のありようによって、いかようにも変えていける」と気づき、以来それを人生の指針としてきたという。

「『生き方』の中では、持つべき『考え方』として前向きで建設的であることや、感謝や思いやりの心を持つことなどが挙げられています。当社では新卒採用で求める人財像として『道を切り拓く人財』を掲げていますが、新しいことに自ら挑戦し、道を切り拓いていくには、能力もさることながら、やはりここで言われている『考え方』がとても大事になってくると思うのです」

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高橋さんが同書の中で若手に伝えたい2つ目のポイントは「利他の心」だ。稲盛氏は、弱肉強食のビジネス界で、一貫して「利他の精神」を説いてきた。

特に1984年、KDDIの母体となったDDI(第二電電)を設立し、巨大なNTTとの競争に挑む際も「値下げで国民が恩恵を受けることを心から欲しているのか。自分や会社の利益を図ろうという私心が混じっていないか」と自問自答を繰り返し、腹を固めた逸話は有名だ。

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