求職者が転職仲介者を指名 最適の相談役は自分で探す
エグゼクティブ層中心の転職エージェント 森本千賀子
次世代リーダーの転職学「中長期の市場価値」を意識したキャリア選択が重要な時代
――働く個人側のキャリアや転職に対する意識については、徳谷さんは変化を感じていますか?
「自分のキャリアは自分で選択していく」。そんな意識が強くなっていると思います。
一昔前は、大手企業に入社した人の離職率は低かったですが、最近は総合商社などの人気企業にいても辞める人が増えていますね。
そして「今、この会社に転職したら年収○○万円上がる」といったことではなく、中長期視点を持って、自身の市場価値をどう高めていくかを考えている。実際、20代のうちに中長期視点で考えて意思決定をした人たちは30代以降のキャリアの幅が広がっています。考えたかどうかで、後々大きな差が開いてきます。
中長期視点でのキャリア構築を一緒に考えてくれる転職エージェントのニーズはこれからも高まっていくでしょう。
転職エージェントへの登録を検討する際、「すぐに転職を考えているわけではないので、キャリアの相談だけするのは申し訳ない」という人もいます。その点、このサイトには「キャリア相談だけでもOK」というエージェントさんも多く、その旨を記載しているので、安心して相談できると思います。
――今後、キャリアプランニング、転職のあり方はどうなっていくと思いますか。
これまでは世間的に評価が高い企業への入社を目指し、一度入社したらキャリアが固定化されていました。いわば、他人の物差しによって、自身の道を決めていたと思います。
しかし、今はキャリアの幅が非常に多様化し、正社員・フルタイム勤務ではない働き方も一般化してきました。業種・職種の明確な区切りもなくなり、融合が進んでいます。
そうした環境下では、「自分はどうありたいのか」「自分らしいキャリアとは何か」といったことをしっかり考えないままに働いていると、いずれ「一生懸命やってきたけれど、何のためにやってきたんだろう?」となる。高学歴で「エリート」と呼ばれる人ほど、その傾向が見られます。
ですから、仕事やキャリアに対する自身の「あり方」を常に見直し、定義し直し続けることが必要だと思います。その際、「中長期の市場価値」を意識することも、より重要になっています。
変化が激しいこの時代、今所属する会社がなくなったとしても、次にどのような機会をつかめるのか、どれだけ自分にスカウトの声がかかるのか。それを想像しながら、現在のキャリアを選択していけば、将来の可能性を広げられるでしょう。
しかし、それを自分一人で考えて判断するのは難しいですよね。周囲の同僚や友人に相談しても、偏った知識・価値観での意見しか返ってこないことも多いでしょう。
そこで、すぐに転職しないとしても、キャリアの専門知識と客観性を持って対応してくれる転職エージェントに、パートナーとして迷ったときにいつでも相談できるようにしておくことは有効だと思います。
「みんなのエージェント」も、ただ「A社とB社のどちらに行くべきか」といった短期的な転職支援ではなく、人生の意思決定を支援するサービスでありたいと思います。人生の節目での意思決定が最適なものになるよう、継続的にサポートしていくことを目指しています。
徳谷さんのお話にあったように、私も自身の「価値」をあらゆる角度から可視化して、どんな経験を積めばバリューアップできるのか、潜在的な「Will(やりたいこと、ありたい姿)」を整理し、どんなキャリアを志向しているのかを認識しておくことが大事だと思っています。
自分のことは意外と客観視できないものです。自分のキャリアの伴走者でもある転職エージェントとの出会いが、未来のキャリア構築において大きな意味を持つ時代がやってきたと感じます。
※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。
