「元マッキンゼー」はなぜ強い 相次ぎ巣立つ起業家
キャリアコラム武藤氏のほか、同じオンライン診療分野のマイシンCEOの原聖吾氏、メドレー代表取締役だった豊田剛一郎氏も東大医学部とマッキンゼーの出身。実は「日本最高の頭脳を獲得したい」とマッキンゼーは東大の医学生に向けた採用活動に乗り出していたのだ。
芸能界にも「卒業生」
アルムナイは芸能界にも存在する。女性お笑いタレントとして活動する石井てる美氏だ。東大院修了後にマッキンゼーに入社したが、1年余りで退職し、芸能の世界に飛び込んだ。「しんどかった」と振り返るが、マッキンゼー時代の経験をネタにしたり、著書にしたりし、退職後も同社関係者と交流がある。「伝えることは極力分かりやすく」など上司からの教えは現在も役立っている。

お笑いタレントの石井氏はマッキンゼー時代の経験をネタにしているという
マッキンゼーのアルムナイの満足度を示すデータがある。国内最大級の社員口コミサイト「OpenWork(オープンワーク)」が21年にまとめた「退職者が選ぶ『辞めたけど良い会社ランキング2021』」でマッキンゼーはトップだった。グーグルやリクルート、三菱商事などアルムナイの数の多さで知られる巨大企業より高い評価だ。

各所で活躍するマッキンゼーのアルムナイ。起業など志を持った有能な人材が集まり、経営者の目線でマネジメントなどを体験し、顧客の課題解決の姿勢を鍛え抜く。そして卒業後も強力なネットワークを構築し、相互にプラスの価値をやり取りしている。筆者は10人以上のマッキンゼーのアルムナイを取材したことがあるが、いずれも過去に失敗や挫折を体験しながら、強烈なボジティブ志向のある信念を持った人ばかりだった。いわゆる肉食系のネットワーク。今後もビジネス界で大きな存在感を放ちそうだ。
(代慶達也)