1000人単位で採用のアマゾンジャパン 選考ここを見る
働き方アマゾンが求める「リーダーシップ」とは
――転職の口コミなどで、アマゾンの選考方法はユニークだという話も聞きます。
そうかもしれません。当社の選考プロセスは、書類選考、1次面接、そして2次面接です。この2次面接が「ループ面接」と呼ばれており、人によって回数は異なりますが、複数の人に会うことになります。私のときはループ面接で、約45分の面接が5回ありました。
――選考ではどんなことを重視しているのでしょうか。
当社は他の業界から採用することが多いので、マーケティングなどの職務的なスキルというよりは、ソフトスキルを重視しており、その人がどういう価値観でどんな行動をする人なのかを見ます。ですから面接を「Behavioral Interview」と呼んだりします。
特にリーダーシップを見ていますが、これはマネジメントやリーダー経験がある人を採るという意味ではありません。アマゾンの行動指針である「リーダーシップ・プリンシプル」がベースの考え方になっています。顧客起点で考えること、オーナーシップ、などの16項目があり、事業の意思決定だけでなく採用でもこの考え方を土台にして質問します。例えば「DiveDeep」という項目がありますが、採用面接においては、何か決断したり行動したりするときに、深掘りして考えられているかどうかを聞きます。

気象予報士からコンサルまで多彩な人材がいると話すアマゾンの石井さん
――面接ではどういう風に聞くのですか。
私がよく面接で聞くのは、まず「今まで決断したことの中で一番大きいことはなんですか?」という質問です。次に「その決断にあたって、どんな選択肢を考えましたか?」と聞きます。その答えを聞いたら、選ぶときにどういう分析をして、どういう理由で選んだのか、その選択肢のリスクは何か、などと深掘りしていきます。
2週間に1回、社内で回る求人票
――どのぐらいの規模で採用していますか。
千人単位で採用しています。新卒は1割ぐらいで、ほとんどは中途入社ですね。コロナ禍でも採用ペースは落としていません。
――千人単位の人数が入ってくるなら、退職していく人もそれなりにいると思うのですが、離職率は高くないのですか。
組織の人数規模が大きいので、(退職者の)数としては少なくないと思いますが、離職率で見ると、外資系企業の平均並みか、それ以下の水準だと思います。
――どうやってその規模の人材をマネジメントしているのでしょうか。
やはり前述の「リーダーシップ・プリンシプル」や「DAY1」(毎日が始まり、を意味するアマゾンの企業文化)のような価値観を一人ひとりが共有していること、そして主体的にキャリアを築くことが重要です。
キャリア形成については、それを支援する制度として、自ら希望する部署や事業に応募できる「インターナルトランスファー」と呼ばれる制度があります。2週に1回、「オープンポジション」という社内の求人リストも案内されるので、他部署でどんな人材が求められているかがわかります。わざわざ他の会社へ転職しなくても、違う商材の部門に移ることで新しい仕事ができるわけです。それを上司は止めることはありませんし、普段のチーム内の会話でも「今後は何をやりたいですか?」ということは頻繁に問いかけますね。
(聞き手は安田亜紀代、代慶達也)