基礎的なデータ分析手法を解説 勘頼り脱却する第一歩
リブロ汐留シオサイト店
ビジネス書・今週の平台
入り口正面のメインの平台中央付近に展示する(リブロ汐留シオサイト店)
本はリスキリングの手がかりになる。NIKKEIリスキリングでは、ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチし、本探し・本選びの材料を提供していく。今回は定点観測しているリブロ汐留シオサイト店だ。土日の営業を再開してからほぼ1年たつ。来店客はその頃より増えてきた実感があるという。そんな中、書店員が注目するのはデータ分析のプロが企業業績向上のためにさまざまな分析手法を解説した本だった。
初心者向けにわかりやすく解説
その本は平井明夫『改訂版 データ分析できない社員はいらない』(クロスメディア・パブリッシング)。著者の平井氏はフリーランスのビジネスインテリジェンス(BI)コンサルタント。外資系コンピューター会社などでソフトウエア製品の開発、マーケティング、導入コンサルティングなどを歴任してきたと略歴にある。そんなプロの視点から初心者向けにデータ分析の手法を解説したのが本書だ。2011年刊行の旧版を改訂した。
データといっても、ここで扱うのは売り上げや利益、経費、在庫といった最も基礎的な経営データだ。それゆえ多くのビジネスに共通する。この手の基礎的なデータさえ十分利用できていない企業が少なくないというのが著者の実感のようだ。それでは営業施策の立案やその意思決定は勘頼りになってしまう。そこで「あくまでも企業の業績を向上させるという目的のためにデータ分析を行うという観点」から執筆したと「はじめに」に記す。
全体は5章構成。売り上げを増やす、コストを減らす、在庫を最適化する、利益を管理するという4つの視点から分析手法を紹介、最後の5章で営業、マーケティング、調達・在庫部門と3つの部門別のやり方を解説する。
紹介される分析手法は32。例えば売り上げの分析では、以前と比べる→傾向を把握する→目標の達成度を見る→先行きを見通す……というように、単純な分析手法からより深い分析ができる手法へと段階を追って解説が進んでいく。