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「海外大で何をやりたいのか」「やり抜く力があるのか」

柳井氏はどんな視点で奨学生を選んでいるのか。同財団の石田吉生事務局長が代弁してくれた。「過去の実績にはあまり興味はなく、海外の大学で何をやりたいのか、やり抜く力があるのかを見ている」という。柳井氏の問題意識は「日本は高校生までは世界トップの教育水準だが、大学以降はパッとしない」。だからこそ、グローバルな舞台で戦える若手人材を育成したいというものだ。

柳井氏の眼鏡にかなったのはどんな若者か。篠川さんは小石川中高の頃から数学とコンピューターサイエンス(CS)が好きな高校生だった。同校は国際数学オリンピックなどに挑戦する生徒が多い探究型の都立中高一貫校。先輩が海外大に進学し、留学に興味を覚えた。オックスフォード大を志望したのは「米国の大学では1~2年は教養課程だが、オックスフォード大だと、1年から数学とCSを専攻できる。最初から専門科目に専念したかったからだ」という。

米プリンストン大の安田さん

米プリンストン大の安田さん

もう一人、同時期に柳井氏の奨学生になった米プリンストン大学1年生の安田穣さんは関西の出身。兵庫県立長田高校(神戸市)に通っていた。同校は大阪大学や神戸大学などへの進学者が多いが、海外大に進む生徒はほとんどいない。ただ、母親が米国大出身のため、子供の頃から英語に興味を覚え、中1の時に英検1級に合格したという。中学時代にクリーンエネルギー問題に関心を持ち、「人工光合成など光エネルギーの研究をやりたい」と米国の大学を志した。

この2人にはいくつかの共通項がある。両者とも東大の理系に合格している。英米大は秋入学のため、いったん東大に入学して半年近く講義にも出席した。そして2人とも「柳井財団に合格していなければ、経済的な理由から海外大への進学は断念していた」と口をそろえる。

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