ユニクロ柳井氏が応援 東大よりも欧米大学を選ぶ理由
キャリアコラム2人とも東大の講義を体験しながら、結果的に英米大を選んだわけだ。東大は学生1人あたりの教官の数や研究費では国内大では断トツ、それでも英米大の方が魅力的なのだろうか。安田さんは「プリンストン大には通常の講義のほか、大学院生などと一緒に議論して課題を解く授業もある。日本人は結構空気を読み、あまり発言しないが、米国の学生はさまざまな視点からどんどん意見を言い合う。刺激があり、新たな発見にもつながる。教授もフレンドリーだ」と話す。
篠川さんは「最初は英語の授業について行くのはしんどかった。しかし、オックスフォード大には世界中から多様な学生が集まっているので面白い」という。2人ともそれぞれの研究分野を究めたいと目を輝かせる。
開成でも欧米大志向は増加
今、欧米のトップスクールには中国や韓国、インドなどアジアの資産家の子弟がどんどん進学している。その中で、日本人の学生の姿は多いわけではない。やはり資金面での課題が大きいが、最近は日本の経済人による留学などの支援の輪が広がっている。ソフトバンググループ会長兼社長の孫正義氏の「孫正義育英財団」も異才の支援活動を推進し、欧米に留学する学生が増えている。
東大合格数でトップを走る開成高校(東京)でも「欧米大志向の生徒は増える傾向にある」(野水勉校長)という。関西の灘高校(神戸市)からもハーバード大学など欧米の名門大に進む生徒が上昇傾向にある。アジアの中でも国際競争力が低下している日本。内向きにはならず、どんどん世界の大学に挑戦し、グローバル人材になってほしいと願うのは柳井氏ばかりではないだろう。
代慶達也(よけい・たつや)

1989年、日本経済新聞社編集局に入社 企業報道部で自動車、IT、医療など各業界を担当、ジャカルタ支局長を経て日経産業新聞副編集長などを務めた。デジタル事業の部長、副ユニット長を経てNIKKEI STYLEキャリア編集長
