資格や語学の学習で税金還付 会社員が賢く使える「特定支出控除制度」の基礎を解説
知っておきたいリスキリング
リスキリングを進めるうえで、ネックになるのが、身につけたいスキルによっては高額な費用。資格試験予備校の学費なら、年間数十万円や100万円を超える支出になることも珍しくない。
「この資格をとれば、会社での仕事の幅が広がるけれど、資格取得までの費用が高い……」と尻込みしている会社員が知っておきたいのが、特定支出控除制度だ。活用すれば、支払った所得税の一部が翌年、返ってくる。
対象となる費用や、制度利用の際の注意点を解説する。
1.特定支出控除制度の概要
特定支出控除制度とは、仕事に必要だと会社が証明する「語学学習費」「資格取得費」「書籍代」、「単身赴任の場合の、自宅と赴任先との交通費」などが多く発生している場合、翌年、所得税の一定額が返ってくる制度。
たとえば、年収700万円であれば、上記の費用の合計が年間90万円以上の場合、年収500万円であれば72万円以上の場合が、制度を利用できる目安となっている。
資格取得や語学の学習のために年間を通してスクールに通う場合は、自分に適用されるかどうかを確認しておきたい。
2.特定支出控除制度が適用される支出項目
特定支出控除制度が適用される項目は以下のとおりだ。資格取得のための予備校費用から、会社員として必要なスーツ代まで対象となる。
研修費 仕事に直接必要な技術や知識を得ることを目的として、研修を受けるための支出。
(例)データサイエンスに関する仕事をしている会社員が、データサイエンスに関する講座を受ける際の受講料
(例)データサイエンスに関する仕事をしている会社員が、データサイエンスに関する講座を受ける際の受講料
資格取得費 仕事に直接必要な資格を取得するための支出。
(例)弁護士、公認会計士、税理士などの資格を取得するための資格試験予備校の入学金や授業料、法科大学院の費用
(例)弁護士、公認会計士、税理士などの資格を取得するための資格試験予備校の入学金や授業料、法科大学院の費用
勤務必要経費 仕事に必要な経費。①〜③の合計の上限は65万円。
①書籍や定期刊行物などの図書費
(例)仕事に関連した専門書、仕事に関する分野を重点に扱う業界紙
②制服、事務服、作業服などの衣服費
(例)スーツ着用が慣行となっている企業に勤める会社員のスーツ代
③交際費、接待費
(例)会社の得意先や仕入れ先を相手とする接待費、贈答品などの支出
①書籍や定期刊行物などの図書費
(例)仕事に関連した専門書、仕事に関する分野を重点に扱う業界紙
②制服、事務服、作業服などの衣服費
(例)スーツ着用が慣行となっている企業に勤める会社員のスーツ代
③交際費、接待費
(例)会社の得意先や仕入れ先を相手とする接待費、贈答品などの支出
帰宅旅費 単身赴任の場合、勤務地と、家族が住む自宅を行き来するための交通費。
ほかに、通勤費や出張費も特定支出控除制度の対象になるが、これらは会社が負担していることが一般的であるため、適用されるケースはまれだ。