変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

――民間企業のデジタル人材を採用するのは難しい。IT大手も有能なエンジニアは高額報酬で奪い合いをしています。

「確かに報酬だけで競争をするのは難しいですね。 現在、デジタルサービス局は300人規模で、うちICT職が約80人。このうち20人あまりが外部から採用した人材。ドンドン積極的に採用活動をしていますが、ICT職も報酬の基準は他の事務職や土木職などと同じになります。もちろん民間企業のような株式のストックオプション制度もない」。

「しかし、キャリアプランとして考えた場合、自治体でデジタル人材として働くことは、将来的にプラスになると考える人も決して少なくありません。今、全国の1700あまりの自治体が優秀なCIOを求めていますから、デジタルと行政の能力や実績のある方は引っ張りだこになるでしょう」。

デジタル人材育成、eラーニングから開始

――都は5月に「東京デジタルアカデミー」を開設しました。ここで都の職員のリスキリングを実施するわけですか。

「デジタル人材の育成を『分かる』『使える』『つくる』の3階層に分けて実施します。まずベースとなる分かるについては年4万人を対象にITリテラシーの維持・向上にむけて、eラーニングなどを活用して始めたところです。真ん中の階層の使えるは5年で約5千人を対象としたリスキリング、デジタルツールを使える人材を育てます。最上層のつくるはICT職を対象にしたプロフェッショナル教育です。今後対象を都職員から区市村職員へと拡大し、デジタルを通じて都の住民サービス向上につなげます」。

――都のDX化は今何合目というか、どこまで進みましたか。

「孫正義さんが先日、『ソフトバングワールド』の特別講演でチョウの話をしていましたね。『幼虫を大事に育てていたら、さなぎになってチョウが生まれた。最初の姿と全く別の美しいモノに変身して感動した』と語っていました。それで言うと、東京都はやっとさなぎなったところ。美しいチョウになって羽ばたくのはもう少し先ですね」。

(代慶達也)

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