実力主義というけれど男女で均等な機会を与えている?
D&I、ジェンダー平等入門(4)
ダイバーシティ女性リーダーだからコロナの対応が成功したのではない
2020 年のコロナの対応では世界の女性リーダーの活躍が注目されましたが、本質的には「多様性が保たれている国家かどうか」が重要でした。
ニュージーランド、台湾、当時のドイツ、フィンランドをはじめ、多くの女性リーダーの活躍が目立ちました。ただ私たちが注目すべきは、リーダーが女性だということではなく、これらの国には本当に優秀な人材が、性別にかかわらずその国のリーダーになることができるシステムやマインドがあるという点です。日経ウーマンエンパワーメントプロジェクトの取材で、Think Impacts代表取締役の只松観智子さんは、こう説明します。
「ジェンダーに関係なく国民全員に平等な機会が与えられることで、ジェンダー平等が進んでいない国よりも単純に2倍の英知を結集することが可能になります。このような平等なシステムがあれば、ジェンダーにかかわらず、本当に優秀な人がリーダーとなり、国の重要意思決定機関は優秀な人材で構成されることが想像できます。その結果、コロナのような未曽有の危機においてさえ素晴らしい対応ができるのです」(只松氏)

コロナ対応で世界の女性リーダーの活躍が目立った(イラストはイメージ=PIXTA)
女性管理職比率アップは、ガバナンス機能を正常化させる
政府が掲げる「2030」は、企業のトップ層の女性割合を向上させることが目的ですが、言い換えると、重要意思決定機関のガバナンス機能を正常化させることを目的とした取り組みということもできます。
また、「Z世代」と呼ばれる若年層は、SDGs (持続可能な開発目標)やダイバーシティの重要性を学校で学んできており、ダイバーシティネイティブであると言えるでしょう。この層が管理職に就く頃には日本も大きく変わっていることを願います。ただそれを単に待っていては20年、30年もかかってしまう。それでは遅すぎます。